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2017年8月 6日 (日)

ナイスショット

Photo_3
その日、私は電車に乗って帰宅中であった。
座席は空いていなかったが、立っている人はまばらで、それほど混んでいるという印象ではなかった。


駅を二つほど通過したあたりになって、私は左の鼻の穴に何やら異物感を感じていた。


何かゴミでも吸い込んだのかと思い、気になって鼻をつまんでみると、確かに何か硬いものが鼻の中に入っているのが分かった。


しかし、電車の中で「チーン!」と大きな音を立てて、鼻をかむのもどうかと思い、とりあえず最寄の駅に着くまで我慢することにした。


ところが、電車にガッタン、ゴットン揺られているうちに、異物感はムズムズ感に変わって行き、私は三回連続で大きなくしゃみをした。


ど派手な三連発であったため、周りの乗客にジロリと見られたような気がして、私は小さく縮こまっていた。


大きなくしゃみの三連発をしたというのに、鼻のムズムズ感は一向に治まらず、私はまたくしゃみをしたくなって来た。


私はこれ以上、周囲の注目を浴びたくなくて、ほんの数秒のうちに「何とかくしゃみを回避出来ないか」ということについて、目まぐるしく思考をめぐらせていた。


その結果、くしゃみの原因を取り除けばいいことに今さらながら気付いた。


くしゃみの原因となっているのは、左の鼻の穴にある異物だ。
これを取り除いてしまえばいいだけの話なのだ。


最寄り駅に着いてからと思っていたが、私は仕方なく鼻をかんでしまうことにした。


私はカバンに入れてあったティッシュを取り出そうと、右手をカバンに入れてティッシュをゴソゴソと探し始めた。


ところが、その間も鼻のムズムズ感は一向に治まらず、遠くの方からものすごいスピードで「くしゃみをしたい感じ」が疾走して来るのが分かった。


「これはまずい、このままではくしゃみが出てしまう」と焦りまくった私は、次の瞬間、何を思ったのか、突発的に右の鼻の側面を押さえて、左の鼻の穴から思いっきり空気を「フン!」とばかりに吹き出していた。


ところが、吹き出たのは空気だけではなかったようで、鼻に詰まっていた異物がものすごい勢いで飛び出して行ったのが鼻の穴の感覚で分かった。


その証拠に次の瞬間には、もう左の鼻の穴の異物感はきれいさっぱり無くなっていた。


その結果、鼻のムズムズ感はすっかり解消され、私は何とも晴れ晴れとした気分になっていた。


何はともあれ、私は特大のくしゃみをして、周囲の注目を浴びずに済んだことにホッとしていた・・・・・・。

 

Photo_2

それにしても、あの鼻の異物感はいったい何だったのだろうか。
私の鼻の穴にいったい何が入っていたと言うのか。


そして、左の鼻の穴から、ものすごい勢いで発射された異物はどこへ飛んで行ったのか。


鼻の穴に入っていたくらいの小さなものだから、どうせ見つかるわけがないと思いながらも、私は自分の鼻の穴に何が入っていたのか無性に知りたくなって、キョロキョロとあたりを見回した。


私は足元のあたりを一通り見回してみたが、特にそれらしきものは見当たらなかった。


もし、仮にあったとしても、鼻の穴に入っていたものだし、小さすぎて見つけるのは極めて困難だろう。


私はあきらめて床からそっと視線を上げた。


「ん?」


今、何か気になるものが視界に一瞬入った気がする。


私はもう一度ゆっくり視線を下げて行った。


「あ!?」


すると、私の斜め前方に立っているおばさんが、片手に下げている紙袋に何かがひっついているのが分かった。


それは某有名デパートの紙袋で、中には某有名デパートの包装紙に包まれた菓子折りのようなものが二つ入っていた。
何かがひっついていたのは幸運にも紙袋の方で中身の方は無事であった。


私は何がひっついているのか、うすうす気付いてはいたが、念のためよく目を凝らして見ることにした。
すると、それは紛れもなく大きな鼻くそであった。


それは今までに見たこともない、びっくりするほど巨大な鼻くそであった。


その鼻くそは半分はカチカチに乾燥していたが、半分は軟らかい二段階構造になっていた。


全部乾燥していたら、あんな所にくっついたりしなかったろうに・・・・・・。


それにしても、本当にあんな巨大なものが、私の鼻の穴に入っていたのだろうか。
もし、あれが本当に私の鼻の穴に入っていたとするなら、相当キツキツの状態で入っていたに違いない。


そんな巨大な二段階構造の特製仕様のロケットを、試射もなしにぶっつけ本番で発射し、おばさんの排他的経済水域ぎりぎりに着地させるのは、どう考えても至難の技である。


そもそも、私はあれが自分の鼻の穴を飛び出し、おばさんの紙袋に着地した瞬間を見ていないのだ。


私はあの鼻くそはその大きさからして、相当鼻の大きな人が放ったものに違いないと思うことにした。


しかし、見渡せど、見渡せど、そんなに鼻の大きな人は、どこにも見当たらないのだった・・・・・・。


私はおばさんからそっと数歩離れた・・・・・・。


(画像上は草地で咲くキンミズヒキ、画像下はテングタケの幼菌)


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