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2018年11月18日 (日)

「おなら専門」のセキセイインコ

Photo
突然だがセキセイインコというと皆さんはどんなイメージを持っているだろう。


テレビの動物番組やおもしろ映像、びっくり映像などの影響もあって、「おしゃべりをする」というイメージが強いのではないだろうか。


そして、多くのかたは、セキセイインコはちゃんと教えれば、どの個体もおしゃべりが出来るようになると思っているのではないだろうか。


しかし、残念ながら、それは幻想である。
セキセイインコのおしゃべりは、犬にお手やお座りを教えることとは少し違うのだ。


まず、おしゃべりが出来るのは、多くの場合オスで、メスはほとんどものまねはしない。


そして、オスだからと言って、全ての個体がおしゃべりが出来るという訳ではなく、おしゃべりをするようになるかどうかは、その個体におしゃべりの素質があるかどうかに尽きる。


おしゃべりが出来るようになるセキセイインコは、小さなうちから口の中で、「ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ」と、言葉にならないさえずりのようなことを繰り返している。


このように、生まれつき、言葉遊びのようなことが好きな個体が、おしゃべりが出来るようになるようだ・・・・・・。


次にひとくちに「おしゃべり」とは言うものの、個体によってその能力や得意分野に差がある。


テレビでしばしば紹介される、「むかしばなし」を話すセキセイインコのように、長文をペラペラペラペラとしゃべれるようになるものから、「おはよう」とか「こんにちは」などの単語だけを一つ一つ覚えて行くものもいる。


また、人の言葉はしゃべれないが、人の発するくしゃみやせき、いびきやおならなどを覚えてマネをする個体もいる。


そして、そのような個体がやっかいなのは、わざわざ教えなくても、いつの間にか勝手にそれらの音を覚えてしまっている点だ・・・・・・。


例えば「こんにちは」を覚えさせようと思ったら、毎日、毎日、「こんにちは」を根気よく聞かせ続ける。
そうすることでセキセイインコが、耳から入って来た「こんにちは」を、口の中で再現しようとし始める。


そうして、少しずつ「こんにちは」の完成度が高くなって行き、いずれ「こんにちは」とはっきりしゃべれるようになるという訳だ。


ところが、くしゃみやせき、いびきやおならなどを覚えてしまう個体は、それをわざわざ教えなくても、勝手に学習してしまう。


そんな音をあえて教えようとする飼い主はまずいないだろうから「やっかい」なのだ・・・・・・。


以前、うちには「おなら専門」のセキセイインコがいた。
言葉は全く覚えなかったが、家族一人一人のおならを聞き分けて、その特徴を見事に再現してものまねしていた。


もちろん、家族の誰一人として、おならを教えようとした覚えはなく、日常生活の中で何気なく、「ブー」と出たおならを聞いていて、勝手に覚えて行ったようだ。


きっと、彼はおならの音に興味を持ったのだと思う。
興味があるから、自分なりにおならの音を分析して、その違いを再現出来るようになったのだろう・・・・・・。


父のおならはいつも空気が多い印象で、中心は「ブー」なのだが、その周りを空気が包み込んでいて、「ブー」に「スー」がコーティングされたような状態で出る。


これは言葉で表現するのは非常に難しい。


しかし、おなら専門のセキセイインコは、この難しいコーティング具合も完璧に再現していて、すぐに父の放屁のまねをしていると分かった・・・・・・。


母は当時少々太り気味の体形だったので、おならは尻の肉に圧迫されて、かなりの高音で「ブー」ではなく、「プー」と出ることが多かった。


この高音のおならは実際に聞くとかなりゆかいで、出した本人も、聞きたくもないのに聞かされた方も、「プー」と音がした途端、思わず「ぷっ!」と吹き出し大爆笑となる。


そんな高音の「プー」を、おなら専門のセキセイインコに、すまし顔で再現された日にゃ、大爆笑どころの話ではなく、腹がよじれんばかりに「ヒー、ヒー」言いながら、のた打ち回ることになる・・・・・・。


大トリを飾るのは私だが、私の場合、普通におならをすれば、「ブー」か「ビー」だ。
肛門ウーファーを震わす重低音と言ったらいいのだろうか。


おならの音としては家族の中では最も下品な音色と言えよう。


おならに上品な音なんてものがあるのかどうかは疑問だが、もしあるのだとしたら、ぜひその出し方を真剣に学びたいものだ。


そして、上品なおならの出し方をマスター出来れば、もし万が一、ふいにおならが出てしまっても、「あら、あのお方、何て上品なおならをなさるんでしょ」と言われるに違いない。


しかし、残念ながら、「時すでに遅し」で、我が家では「おなら専門のセキセイインコ」に、家族全員のおならを完コピされてしまっているのだ・・・・・・。

 

Photo_2

そこで問題になって来るのが、うちにお客さんが来たときなのだ。
一時間もいないで帰るようなお客さんならまだいいのだが、2~3時間も居座られたらちょっとまずいことになる。


知らない人が家にやって来て、最初は緊張していたセキセイインコも、一時間もすれば慣れて来てさえずりはじめる。


そして、次第にごきげんになって来て、口の中で「ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ」と、言葉にならない言葉を転がし始めたら、いよいよ覚悟が必要になる。


そう、「ブー」が出るのはもはや時間の問題なのだ。


気心が知れた友人なら、笑って済ますことも出来るが、目上の人やめったに会わない親戚などが、たまたま訪ねて来ていたりすると、非常に焦ることになる・・・・・・。


そしてこの日もそんなめったに合わない親戚がうちに来ていた。


「仕事でこっちに来る用事があったので、ちょっと寄ってみた」と言っていたが、うちになんの用もないのに、そんなくだらない理由でちょっと寄らないでもらいたいものである。


私たちはセキセイインコのニセ放屁を恐れて、意味もなく声の大きさを上げて話をしたり、テレビのボリュームを上げてみたりしていたのだが、どう頑張ってもこれには限度というものがある。


いつ出るかもしれないニセの放屁のために、延々とそれを続けて行く根気はさすがにない。


私たちは顔は相手に合わせて笑っているが、内心はひやひやしながら、ただ、ただ、客が早く帰ってくれることをひたすら祈り続けていた・・・・・・。


私は初めのころ、この状況でセキセイインコが、「いったい誰のおならのマネをするのか」ということばかりを気にしてドキドキしていたのだが、次第にじつはそんなことはたいした問題ではないことに、はたと気付いた。


セキセイインコが誰のおならのマネをしようが、客にとっては、そのニセ放屁が誰のおならの音色かなんて分かるはずがないのだ。


一番問題なのは、「おなら専門のセキセイインコ」がまねるおならの音は「リアルである」ということなのだ。


そして、それを知らなければ、誰もが本物のおならだと思うだろう。


また、一般の人は、セキセイインコがおならのものまねをするなんて、きっとこれっぽっちも思っていないだろうから、「じつは今のおならの音はこのセキセイインコのものまねなんです」と説明したって、すぐには信じてもらえまい。


「何をバカなことを」と鼻で笑われるのがオチである・・・・・・。


と、そんなことばかりを心配していると、緊張で腹にガスが溜まって来て、下腹が妙に重苦しく感じて来た。


依然客の腰は重く、一向に帰る気配はない。


一方のセキセイインコの方はといえば、ノリノリで頭をふりふりしながら、「ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ」とごきげんに何かを言いたげな様子。


これはまずいかなと思った瞬間、ついにその時は来てしまった。


「プーーッ!」
それは母の高音のおならのマネだった。


私は思わず「ぷっ!」と吹き出してしまい、その拍子に緊張で腹に溜まっていたガスが、肛門から「ビーーッ!」と出た。


セキセイインコのおならのものまねをずっと心配していたのに、うかつなことに自分も本物の放屁をしてしまうという失態を犯してしまったのだ。


しかし、「プーーッ!」という高音のおならのものまねが出た瞬間、家族全員大爆笑となっていたので、その大きな笑い声のおかげで、私の「ビーーッ!」はややかき消されていた。


客の前で自らの高音でゆかいなおならを公開されてしまった母は誰よりも大爆笑で、泣きながら大笑いしつつ、なぜか四つん這いになって、ゆっくりと前進するという謎の行動をしていた。


客はポカンとあっけに取られていて、何が起きているのか全く理解できない様子で、ただ、ただ、事の顛末を見守っていたのだった・・・・・・。

 

(画像上はクヌギのどんぐり、画像下はシラカシのどんぐり)

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