感染する体臭
どうやら人間は臭わずにはいられない生き物のようだ。
その証拠に人間というのは、体の各パーツごとに異なる臭いを発しているのだという。
それがいい匂いならば全く問題はないのだが、残念なことにそのどれもが、お世辞にも「いい匂い」とは言いかねるような臭いで、早い話が「くさい」のである・・・・・・。
例えば人の「頭部」からは、油のような臭いが発せられているという。
正確には頭部というよりも、頭皮からにじみ出て来る皮脂の臭いのようだ。
分かりやすく言うなら、「お父さんの枕カバーの臭い」がそうだろう。
風邪で熱を出して、2~3日お風呂に入れなかったりすると、確かに髪の毛や頭皮が油っぽくなって来るのが分かる。
臭いそのものは、自分では分かりにくいかもしれないが、これがその油っぽい臭いの原因なのだろう・・・・・・。
次は臭いの王道、「脇の下」だ。
脇の下からは酢やスパイスのような臭いが発せられるという。
一番汗をかく場所でもあるので、これについてはもう仕方がないとしか言いようがない。
むしろ臭わない方がおかしい部位である・・・・・・。
次は「体幹」だ。
体幹という言葉には、「体の中心」とか「軸」という意味があるが、なんと人間はその「体幹」から、草のような臭いを発しているのだそう。
最近は「体幹トレーニング」をする人が増えたが、トレーニングをすればするほど、草の臭いを周囲に撒き散らしていることになるのだ。
ジムなどで大勢でいっしょに体幹トレーニングをしていたら、室内なのにそこはもはや大草原と言えるだろう。
そのうち草も生えていないのに、バッタが生息するようになるかもしれない・・・・・・。
最後は「足」。
足からは納豆のような匂いが発せられているそうだ。
しかし、個人的には「足の匂いが納豆」などと言うのは、本物の納豆に対して失礼だと思う。
本当に足が納豆の匂いだというのなら、自分の足の臭いと、薬味のネギの匂いを交互に嗅ぎながら、朝ご飯を三杯はイケるはずである。
「そこまで言うなら、ちょっとためしてみよう!」などとはこれっぽっちも思わないが、もしそれが成立するのなら、これも一応、「自給自足」と言うのだろうか・・・・・・。
それにしても、油だの酢だのスパイスだの納豆だのと言われると、人間の体臭はなんだか台所の匂いのようでもある。
そう考えると、「体臭」という先入観をとっぱらって考えたら、「案外、人の体臭ってイケてるんじゃないか」という気がしないでもない・・・・・・。
このように人間の体からは、様々な臭いが自動的に発せられているのだが、それに加えて体臭には、年代によって変化するものもあるというからやっかいだ。
10代半ばから30代半ばぐらいまでは、男女に関係なく、脇の下の汗の匂いである、「脇臭」が中心に発せられているそう。
30代半ばから50代半ばの男性からは、後頭部などから「ミドル脂臭」という不快な脂っぽい臭いが強く発せられるという。
そして、50代後半からは男女に関係なく、胸や背中などから、「加齢臭」という独特の、脂っぽくて青臭いような臭いが発せられるようになるのだという・・・・・・。
ちなみに「加齢臭」が特定され発表されたのは1999年。
「ミドル脂臭」が特定され発表されたのは2013年。
そして、以前記事にしている「SWEET臭」が特定され発表されたのは2018年と、人間の体臭はやっかいなことに年々増え続けている傾向にあるのだ・・・・・・。
そして、更に2018年の10月には資生堂が、「ストレス臭」を特定し発表している。
なんでも人間は強いストレスを受けると、体から「ストレス臭」なるものを発するらしいのだ。
ストレス臭は加齢臭やミドル脂臭とは違って、年齢や性別に関係なく、ストレスを感じている全ての人から発せられる臭いとのことで、体の様々な部位から出ているらしい。
加齢臭やミドル脂臭が「体の特定の部位」からのみ発せられていることを考えると、ストレス臭はよりやっかいな体臭であると言えるだろう。
で、ストレス臭はどんな臭いなのかというと、「硫黄化合物系の臭い」とのことで、身近なものに例えるなら、「ネギやニンニクのような匂い」と感じる人が多いという・・・・・・。
ストレス臭を発見するために行った実験では、「暗算」を続けたり、「答えづらい質問」を受け続けたりした後に、手の平から発せられる「皮膚ガス」の臭いを検証したのだという。
それにしても、「答えづらい質問」とは、具体的にはどんなことなのか個人的にはとても気になる。
もしかして、人に言えない性癖のようなものを、根掘り葉掘り聞かれたりするのだろうか。
だとしたらそれは、人によってはかなりのストレスになるに違いない。
また、そういう性癖を持っていそうな人を、あえて被験者に選んでいそうで、実験の裏側を想像してみると思わず笑ってしまう。
そして実験では緊張による心拍数が高くなった人ほど、臭いは強く出る傾向があったそうで、答えづらい質問攻めで、よほど追い詰められていたのかと思うと、実験とはいえ同情せずにはいられない。
また、実験では「ストレス臭」を嗅ぐ前後の心理変化を確認したところ、嗅いだ後は「疲労」と「混乱」の指数が高まることを確認したという。
これは「ストレス臭」を発している本人だけではなく、それを嗅いだ周りの人も、「疲労」と「混乱」の度合いが高まる可能性を示唆していることになる。
早い話が強いストレスを感じて、「ストレス臭」を発している人の近くで、うっかりその人の臭いを嗅いでしまったことにより、自分もそのストレスを知らないうちに貰って来てしまっているという構図になる。
たとえそのことを知っていて、他人の体臭を出来るだけ吸い込まないようにしていたとしても、どこからかネギの香りが漂って来て、「あれ、なんかネギ臭いな~」と感じたら、もうその時点でアウトということになる。
満員電車の中などでは、他人の体臭を吸い込まないようにするなんて、どう頑張っても無理な話で、風邪のウイルスなどといっしょで、知らないうちに感染してしまっているなんてことになりかねない・・・・・・。
どうやら「ストレス臭」に関しては、体臭予防ということよりも、他人の「ストレス臭」を嗅いで吸収してしまった後に、「いったいどうしたらいいのか?」ということを考えて行くことの方が重要のような気がする。
そう考えると、やっかいな体臭が見つかったものである・・・・・・。
(画像上は赤く色付いたウメモドキの果実。画像下は刈り取った稲を天日干しする、懐かしい「はさ掛け」の風景)
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