学校の前にあった個人商店
私が学生の頃には、今ではあまり見かけなくなった、小さな個人商店が、まだ町のあちこちに残っていた。
そしてそんな個人商店の中には、「この店はいったい何屋なのか?」と疑問に思うような店もけっこうあった。
そういう店はたいてい、「〇〇商店」という看板を掲げていて、「〇〇」には店主のみよじが入る場合がほとんどだった。
だから店の名前だけを見ても、その店がいったい何を売っている店なのかを判断することはちょっと難しかった・・・・・・。
学校の近くにはそんな店が必ず1件はあって、学校帰りには学生たちでにぎわっていたのを、今でもはっきりと覚えている。
学校の前にある店というのは、学生相手の商売ということもあって、店には学生が使う物がメインに置いてあった。
私が中学生の頃は、学校に購買部がなかったので、学校の前にある店にノートや鉛筆、シャーペンの芯などがおいてあるのは、大変ありがたいことだった。
授業中にノートやシャーペンの芯が切れると、チャイムと同時に店へ走って行って、大慌てで買い物をして、猛ダッシュで帰って来るということもしばしばあった。
またこの店には絵筆や絵の具、彫刻刀なども置いてあって、美術部の部員はみんなこの店の常連だという話を聞いたことがあった・・・・・・。
またこの店にはなぜか総菜パンが山のように置いてあった。
量だけではなくて種類も豊富で、仮に1週間総菜パンを買い続けたとしても、毎回違う種類のパンを食べることが出来るほどだった。
私が中学生の頃は給食ではなく、弁当持参だったので、親が寝坊をして、弁当を持って来られなかった生徒は、この店に総菜パンとコーヒー牛乳を買いに行くことが出来てとても便利だった。
学生の頃というのは、どういう訳か異常に腹が減るもので、開店と同時にこの店へ走り、午前中のうちに総菜パンをぺろりと平らげている者もいたものだ。
しかも昼にはきっちりと弁当も食べるのだから、今考えると、いったいどんな腹をしていたのか不思議でならない。
また、部活帰りに総菜パンを買って、店の前で食べている者も多かった。
きっとこの店は総菜パンだけで、相当の売り上げがあったに違いない・・・・・・。
天候が急変し、急に雨が降り出して来たりすると、この店ではいったいどこにしまってあったのか、カサやカッパなどの大量の雨具を店の軒先に出して、「雨具あります!」と大アピールしていた。
普通の雨なら濡れて帰るという選択肢もあるが、土砂降りになって来ると、やっぱり雨具はないよりあった方がいい。
最初の頃は、「こんなに大量に雨具を仕入れて、売れなかったらどうするつもりなんだろう」と、余計な心配をしていたものだが、考えてみたら全校生徒を対象にした商売なのだ。
総菜パン同様、売れない訳がなかった。
また朝の登校時に大雨が降っていた日には、店の入り口付近にいつの間にか、特設の靴下売り場が出来ていた。
こんな日は大雨で革靴の中まで浸水してしまい、靴下を履いていない生徒が多いことを見越してのことだった。
男子は「もうどうでもいいや!」と1日中裸足で過ごしている者も多かったが、女子は「靴下を履いていないと気持ち悪い」と、休み時間に靴下を買いに行く者が多かった・・・・・・。
この店には少量だったがお菓子も置いてあった。
スナック菓子のようなガサばるものは置いていなかったが、アポロやアーモンドチョコのような置き場所を取らない物が、数種類だけ置かれていた。
置き場所を取らないということは、言い方を変えれば、「コンパクトである」ということで、学校帰りに片手で持って、友達と食べながら帰るには最適な大きさだった。
当時はたいして気にもしていなかったが、店に置かれていた菓子は、そこまで計算して選ばれていたようである。
この店のおやじ、ただハゲ散らかしているだけかと思いきや、どうやらただものではないようだ・・・・・・。
この店にはなぜか絆創膏やガーゼ、包帯など、ちょっとした傷の手当てが出来るものも置いてあった。
なんでそんなものまで置いてあるのかと疑問に思っていたところ、野球部やサッカー部の生徒が、目立つ部分に出来た擦り傷を隠すのに、よく買っていたそうなのだ。
そう言われてみれば、野球部やサッカー部の生徒は、腕や顔に絆創膏をよく貼っていた。
小学生の頃は転んで大きなかさぶたを作っても、絆創膏など貼らずに、「お構いなし」という者が多かったが、中学生ともなると妙に色気づいて来て、女子の目を気にして、小さな傷すら隠したがったりしたものである・・・・・・。
店の入り口近くには、雑誌も数冊置いてあった。
個人商店で店内が狭いので、本当に売れ筋のものだけが置かれていた。
「少年ジャンプ」などの漫画雑誌はよく売れるらしく、発売日にはレジの前にも山積みにして置いてあった。
確かに教室では休み時間になると、漫画雑誌を読んでいる者が何人もいたのを覚えている。
当時、「少年ジャンプ」はファミコンゲームのドラゴンクエストとコラボして、専門誌に出ないような情報を、毎週小出しにして掲載していた。
このため普段はマンガ雑誌を読まない者も、ドラクエの記事を見たいがためにジャンプを買っていた。
だから当時、「少年ジャンプ」は本当によく売れていて、書店を数軒回らないと買えないこともあったぐらいだった。
そういう意味では、学校が終わるのを待たずに買いに行けるこの店は、ジャンプを入手出来る確率も高かったという訳だ・・・・・・。
店内に置かれている雑誌には、なんとエロ本も数冊あった。
エロ本は店内の目立たない場所にひっそりと置かれていて、それが気になって、その場を行ったり来たりしている生徒をよく見かけたものだ。
エロ本を購入する時は、このようにコソコソしていると逆に目立つので、堂々とレジに持って行ってしまうのが正解である。
そうすると不思議なくらい気付かれないものなのだ・・・・・・。
このようにこの店では、学校生活だけに留まらず、家に帰ってからの性欲処理のことまで考えてくれており、正に至れり尽くせりの品揃えの店だったと言えよう。
そのおかげで私たちは、充実した中学校生活を送ることが出来たのである・・・・・・。
(画像上、イヌタデは目立たない花だが群生していると見事だ。画像下、アキアカネは低温に強く、12月頃まで見ることが出来る・・・)
« 「関東ローカルのCM」東京サマーランド | トップページ | 「ザ・ガマン」の性欲我慢! »
「エッセイ」カテゴリの記事
- 昭和のワッフル(2026.08.05)
- 教会から消えた十字架(2026.07.29)
- 平らなところでつまずく人(2026.07.22)
- ビン入りコーラのうわさ(2026.07.15)
「花」カテゴリの記事
- 中国のビックリ人間(2026.07.08)
- 妙に疲れた1日・・・(2026.06.17)
- どこにしまったか忘れる・・・(2026.06.03)
- ビックリ人間のおっぱい(2026.05.20)
- セルフレジ(2026.05.06)
「昆虫」カテゴリの記事
- ムラサキカガミ(2026.01.21)
- 自分とそっくりな人と会ったら死ぬ(2025.12.03)
- 扇風機をつけたまま寝ると死ぬ(2025.10.15)
- 人の名前を聞き間違えた話(2025.09.17)
- 刺さったトゲを放置していると死ぬ(2025.09.03)
「昭和」カテゴリの記事
- 昭和のワッフル(2026.08.05)
- 教会から消えた十字架(2026.07.29)
- ビン入りコーラのうわさ(2026.07.15)
- 中国のビックリ人間(2026.07.08)
「商店街」カテゴリの記事
- ふきあげパイプ(2025.04.02)
- カットルボーン(2025.03.05)
- ポリバルーン(2025.02.12)
- 牛乳配達(2025.01.29)
- 近所にあった「ほかほか弁当」(2025.01.02)
「中学校」カテゴリの記事
- 昭和の頃によく見た光景(2026.06.24)
- 昭和の危ない人(2026.02.11)
- 睡眠学習器SLシータップ(2025.11.12)
- 学校のジャージの色(2024.08.27)
「変わりゆく町並み」カテゴリの記事
- サカタのタネガーデンセンター(2025.10.01)
- 晦日祓い(2025.09.10)
- トイレにはキンモクセイ(2025.07.30)
- お年玉の通帳はどこへ・・・(2025.03.19)
- 牛乳配達(2025.01.29)


コメント