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2021年3月23日 (火)

「謎フレーズ探偵」じゃんけんぽっくりけっつうまのくそ

Photo_20210321094801

私が小学生の頃、変なじゃんけんが流行っていたことがあった。


そしてそのじゃんけんの掛け声はやたらと長くて、覚えるのも一苦労だった。


最初のうちは、いったいどのタイミングでじゃんけんをするのかもよく分からなくて、「やっかいなじゃんけんが流行り出したな~」と子供ながらに思っていたものだ・・・・・・。


で、そのやたらと長いじゃんけんの掛け声は次のようなものだった。


「じゃ~んけん、ぽっくりけっつ、ま~めは~さまっ(た)、た~んこぶ、た~んぼですりむい(た)、た~んぼでくっそたれたっ!」


この歌はいわゆる「繋ぎ歌」になっていて、連続する「た」を1つ減らすことで、流れるように歌うのが特徴だった。


つまり歌詞の()の部分は省略して歌わないのである。


また、じゃんけんの「手」は、最後の「くっそたれたっ!」の「たっ!」の時に出すことは言うまでもない。


そしてこのフレーズを聞かされて、まず思うことは、「いったいこれって、どういう意味なんだろう?」ということだ。


しかし、当時はそんなことは二の次で、とにかく流行りに置いて行かれないように、まずはこのフレーズを全部覚えるということを優先していたように思う・・・・・・。


じつはこのじゃんけんには簡易版もあった。


簡易版の方は、「じゃ~んけん、ぽっくりけっつ、う~まのくそっ!」と、前者に比べたら非常に短くシンプルで覚えやすいものだった。


しかし、「掛け声の意味がさっぱり分からない」ということに関してはどちらも変わりがなかった。


で、今こうして振り返って見ると、このじゃんけんは掛け声の意味も分からなければ、その出所も一切不明で、いったいなぜ流行っていたのかもよく分からず、あまりにも謎に満ちていた。


そんな訳で今回は、この謎のじゃんけんについて、色々と考えてみたいと思っている・・・・・・。


まず私は自分の身近な所で、この謎のじゃんけんについて、知っている人がいないか、事あるごとに聞き込みをしてみた。


すると私と同年代ぐらいの人は、やはり「ああ、アレか!」とか、「懐かしいな~」と思い当たる節があるようだった。


ところが聞き込みをして行くと、不思議なことに、人によって、じゃんけんの掛け声のフレーズが、微妙に違っていることが分って来た。


例えば「じゃ~んけ~ん、ぽっくりけっつ」の「ぽっけりけっつ」の部分を取って見ても、「ぽっくりけった」と言う人もいれば、「ぽっくりけって」と微妙に違う人もいる。


更には「ほったらけつ」と言う人もいるし、「ほっからけつ」だと言う人もいる。


また、「ぽっくりげた」だと言う人や、「ぽっくりげっつ」じゃないかと言う人もいた。


さすがに「ぽっくりげっつ」に関しては、「ゲッツ!」に影響されているんじゃないかと思うのだが、教えてくれた人に悪いので、その点は追求しなかった・・・・・・。


更にじゃんけんの掛け声の最後の部分についても調べて見た。


長文バージョンでは「くっそたれたっ!」で、簡易バージョンでは「う~まのくそっ!」の部分である。


どうでもいいが、こうして文字にしてみると、どちらも非常にバカバカしい掛け声である。


するとこれも人によってだいぶ違うのだ。


簡易バージョンで一番多かったのは、「うまのくそ」だったのだが、じつは「うまのけつ」もけっこういた。


また、「イモ食ってブー」や、「屁が出てブー」派の人もいた。


更に「イモ食ってプー」だと言う人は、「じゃ~んけ~ん、ぽっくりけっつ、いもくってぷ~!」とじゃんけんをして、あいこだった場合は「へがでてぷ~(あいこでしょの意味)!」、もう一度あいこだった場合は、もう一回「へがでてぷ~!」、その後もあいこが続いた場合は、「ぷ~!」、「ぷ~!」、「ぷ~!」と、勝負がつくまで延々と続けるのだと言い張っていた。


「もはやそれって、あんたのネタなんじゃないの?」という疑惑もあるが、早く勝負が付かないと、なんだか臭って来そうな掛け声である・・・・・・。


Photo_20210321094901

で、いろんな人に聞いてみて、人や地域によってフレーズが少しずつ違うことはあるものの、とりあえず「このじゃんけんが、本当に流行っていた時期があった」という事実は確認出来た。


しかし、流行っていたのはいいとして、このじゃんけん最大の疑問である、言葉の意味については、誰に聞いてもよく分からず、出所はどこなのか、元ネタのようなものがあったのかなどは、結局は分からずじまいだった。


私が思うに、このような謎のワードは、決まってテレビ番組から流行が始まることが多いので、個人的にはその線が怪しいと踏んでいたのだが、残念ながら誰に聞いても、そこに行き着くことはなかった・・・・・・。


そして「これ以上は無理かな・・・」と半ばあきらめかけていたところ、例のじゃんけんのフレーズを、「じゃんけん、ぽっくりげた、ひよりげた」だと覚えていた人がいて、「大人になってから知ったんだけど、ぽっくりげたというのは、むかし着物姿の女の子が履いていた下駄のことで、歩く時にぽっくり、ぽっくりと音がするからそう呼ぶのだそうだよ」と教えてくれた。


「舞妓さんが履く下駄をイメージしてもらったら分かりやすいと思う」とのことだった。


そして、もう1つの「ひよりげた」については、天気の良い日に履く、背の低い下駄のことで、漢字では「日和下駄」と書くのだそうだ。


なるほど・・・・・・。


と言うことは、私たちが小学生の頃に言っていた、「じゃ~んけん、ぽっくりっけっつ・・・」というフレーズは、どうやら「じゃんけん、ぽっくりげた、ひよりげた」が元々の掛け声であったらしい。


「ひよりげた」がなぜ、「うまのくそ」になったのかは気になるところではあるが・・・・・・。


で、この話をまた別の「ぽっくりげた」派の人に話したところ、その話を家族にも話して聞いてくれたらしい。


しかし、家族はそれ以上のことは、特に何も知らなかったらしいのだが、家族がその話を更に親族の誰だかに話してくれたそうなのだ。


するとその人から次のような情報を聞き出すことが出来たというのだ。


「じゃんけん、ぽっくりげた、ひよりげた」というのは、元々は「東京の童歌を集めた本」のタイトルなのだという。


そしてその本の中に、じゃんけんをする時の歌として、「じゃんけん、ぽっくり下駄、しよひげ煙草を一本吸いました(ここでじゃんけんをする)」、あいこだった場合は、「二本吸いました」、更にあいこだった場合は、「三本吸いました」と続いて行く歌が紹介されているのだそうだ。


どうやら「じゃんけん、ぽっくりけっつ、うまのくそ」の原点はコレらしい。


しかし、なぜ本に紹介されている歌の方ではなく、本のタイトルの方が、じゃんけんの掛け声として流行っていたのかは定かではない・・・・・・。


ところで、「しよひげ煙草」とはいったいなんのことだろう。


じつはこれについては、残念ながら正確には分からなかった。


しかし、これはあくまでも我々の推理なのだが、このワードは元々は、「ひよりげた」と「たばこ」という2つの単語だったのではないだろうか。


昔の東京の下町の方言では、「ひ」を「し」と読む。


そう言えば、東京の世田谷出身のうちの父も、「火を点ける」を「しをつける」と発音していたのを覚えている。


「ひよりげた」を「しよりげた」と読んだものが、「しよひげた」と訛って、語呂をよくするために、「たばこ」という単語を後ろに続け、「た」を1つ省略してしまったのではないだろうか。


いわゆる「繋ぎ歌」というやつである。


要するに、「じゃんけんぽっくり下駄、日和下駄、たばこを一本吸いました・・・」が元々のフレーズだったのではないかと思うのだ。


そういえば、私が小学生の頃も、長いバージョンの方の歌詞を、「たんこぶ、たんぼで、すりむいたんぼで、くそたれたっ!」と、「た」を1つ省略して歌っていたではないか。


恐らくそういうことだったのではないかと思う。


私があれほど知りたいと思っていた、「じゃんけんぽっくりけっつ・・・」の意味については、意外にもそのフレーズ全体には意味はなく、ただの語呂合わせの、言葉遊びのようなものだったというのが真相のようだ・・・・・・。


(画像上、サンシュユと白梅の共演。画像下、春の使者、トガリアミガサタケが地上に現れた)

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