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2022年9月14日 (水)

のっぺらぼう

Photo_20220910082901

先日、会社の近くのスーパーへ買い物へ行こうと、いつも通る道をエコバックを片手に歩いていたところ、50mほど前方に気になる人物を発見した。


私はのどが渇いていたので、その場に立ち止まり、ペットボトルのお茶をグビグビと飲みながら、その人物をぼんやりと眺めていた。


ところが不思議なことに、その人物はこちらに向かって歩いて来ているはずなのに、なぜか一向に近付いて来る気配がないのだ。


これはいったいどうしたことだろう。


と、そんなことを考えていたら、私はふとあることに気付いた。


「あれ、顔がない?」


前述の通り、その人物とは50mほど離れていたので、はっきりとは見えないが、どうもその人物には顔がないように見えるのだ。


正確にいうなら、頭部はちゃんとあるのに、目や鼻や口が見当たらないのである。


とは言うものの、そんなバカなことがあるはずがない。


私は何度も目を擦りながら、目玉が飛び出さんばかりに目を見開いて、その人物をじっと凝視した。


しかし、どんなにじっくり見たところで、その人物に目や鼻や口があるようには見えなかった。


もしかして、顔のないお面やマスクを被っているのではないかとも思ったのだが、そんな何も描かれていないお面やマスクに需要があるとはとても思えない。


仮にそんなお面やマスクがあったとしても、そんなものを被って外出しようなんてやつはいまい。


では、こいつはいったい何者なのか。


で、いろいろと考えた挙句に、私は1つの結論にたどり着いた。


「もしかして、これってのっぺらぼう・・・・・・?」


のっぺらぼうとは言うまでもなく、顔がツルツルで、目や鼻や口が何もない妖怪である。


私はのっぺらぼうなんて、漫画やアニメの世界の話だと思っていた。


だからまさか自分が現実に遭遇することになるなんて、これっぽっちも思ってもみなかった。


しかし、後日この話を人に話したとしても、絶対に信用してもらえないだろう。


人に信用してもらうためには、私以外にも目撃者が必要なのだ・・・・・・。


Photo_20220910083001

そこで私は同行者の里帆さんに、「あれ、のっぺらぼうだよね?」と聞いてみることにした。


すると私の指を指す方向を怪訝な表情で「え?」と覗き込んだ彼女は、「のっぺらぼう?何を言ってるんですか?」と聞き返して来た。


もしかして彼女にはのっぺらぼうの姿が見えていないのかと思い、そのことをすぐに確認すると、ちゃんと見えているという。


そこで「顔がないのに変だとは思わないのか?」と問い質すと、「顔なんてある訳ないじゃないですか、後ろ向きなんだから」と言うではないか。


「え?」と言ったまま、あっけにとられている私に、里帆さんは「あれ、ハゲたおじさんですよ」と言った。


「いくらハゲたおじさんだって、顔がない訳がないだろう」というと、彼女は「だから後ろ向きなんですって。向こう側に歩いて行ってるんですよ」と言うではないか。


私はてっきりこちら側に歩いて来ていると思っていたのだが、のっぺらぼうは向こうに歩いて行っていたということらしい。


確かに後ろ向きになっているのなら、顔なんてあるはずがない。


しかも、ツルツル坊主のハゲ頭で、後頭部にも髪の毛がなかったため、のっぺらぼうのように見えていたということらしい。


しかし、私にはそのことがどうも納得がいかなかった。


なぜならあの時ののっぺらぼうは、確かにこちら側に向かって、歩いて来ているように見えたからだ。


ところがそのことを里帆さんに話して、「こちら側に向かって来ているのではなく、向こう側に歩いて行っているんですよ」と言われた途端に、のっぺらぼうの進行方向が変わったのだ。


しかも不思議なのは、回れ右をした様子がまるでなかったことである。


そしてあんなにゆっくりと歩いていたのっぺらぼうが、進行方向が変わった途端に、急に人が変わったように歩く速度を上げたのだ。


そしてあっという間に、十字路を右に曲がって姿が見えなくなってしまった。


里帆さんは私がハゲたおじさんのことを、のっぺらぼうだと言っていたことが相当面白かったらしく、私の横で腹を抱えて大爆笑していた。


笑い過ぎて瀕死のゴキブリのようになっている彼女を引っ張って、私は大急ぎでのっぺらぼうが姿を消した十字路まで行ってみた。


ところがこの先は急な長い上り坂であるにも関わらず、のっぺらぼうの姿はすでにどこにも見当たらなかったのである。


これはどう考えてもおかしい。


そこで私は里帆さんに、「ほら、見てみなよ。やっぱりおかしいよ」と声を掛けた。


すると彼女は再び笑いのツボに入ったらしく、腹を抱えて笑い始めたのだった・・・・・・。


(画像上、フィールドでは夏の終わりを告げるセミ、ツクツクボウシが急に増えた。画像下、雨が降ってシロソウメンタケが地上に現れた・・・・・・)


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