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2023年7月23日 (日)

カントウタンポポとセイヨウタンポポ

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▲野原一面に群生している「カントウタンポポ」の群落。ちなみに私が子供の頃に読んでいた図鑑には、「日本タンポポ」という大きな括りで紹介されていて、地域ごとの詳しい分類まではされていなかった・・・・・・。

私が子供の頃(昭和50~60年代)、近所で見られるタンポポは、外来種のセイヨウタンポポがほとんどだった。


セイヨウタンポポはヨーロッパ原産の外来種で、今からおよそ150年前に、食用として日本へ渡来して来たといわれている。


で、当時は住宅地の道端で見られるタンポポは、このセイヨウタンポポばかりで、図鑑などを開くと、セイヨウタンポポに駆逐されて、日本の在来タンポポが数を減らしているようなことが書かれていた。


ところがうちの近所では、日本の在来タンポポが全く見られないという訳ではなかった。


野原や開発に取り残されている土手、雑木林などでは、在来種のカントウタンポポが大きな群落を作って生えていて、逆にそこにはセイヨウタンポポの姿はなかった。


その光景を見る限りは、とても在来種のカントウタンポポが、セイヨウタンポポに駆逐されているようには見えなかった・・・・・・。


そしてこれは大人になってから知ったことだが、じつはこのことにはちゃんとした理由があった。


じつはカントウタンポポが結実するためには、他の個体の花粉が必要になる。


このため、カントウタンポポが増えて行くためには、同じ場所にたくさんの個体が群生していた方が都合がいいのだ。


そして確実に花粉を受粉してもらうためには、たくさんの昆虫が生息している、野原のような環境の方が望ましい。


一方のセイヨウタンポポは受粉をしなくても、単体で種子を作ることが出来るため、わざわざ群生をする必要はない。


このため、住宅地のコンクリートの隙間などに、点々と生育していても、全く問題はないのだ。


そしてこのような環境では、他の植物と競合することが少ないという利点がある・・・・・・。


また、野原では初夏を迎えると、他の草が一気に伸び始め、タンポポなど背の低い草は下の方に埋もれてしまい、光合成が出来なくなってしまう。


しかし、カントウタンポポは、夏に葉を落として夏眠をする性質があり、春に飛ばした種子も、夏の暑い盛りを避けて発芽する。


そして周りの草が枯れ始めた頃に目覚めて、葉を伸ばし始めるのだ。


だから夏の暑い時期に、周囲を草に覆われてしまっても、カントウタンポポにとっては、特に問題はないということになる。


一方、セイヨウタンポポにはこのような特性がないため、野原などには入り込みにくいということになる・・・・・・。


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▲カントウタンポポは花が終わる頃になると、周囲を背の高い草に覆われてしまい、光合成が出来なくなってしまう。しかし、カントウタンポポには夏眠の性質があり、特に問題はない・・・・・・。

当時の図鑑や身近な自然を紹介した読み物には、「セイヨウタンポポに駆逐されて、日本の在来タンポポが数を減らしている」と書かれていた。


しかしそれは、セイヨウタンポポに駆逐されてというよりも、開発によってカントウタンポポが自生する、里山や野原がなくなって行っていることの方が、むしろ問題だったようである・・・・・・。


ところで、私は子供の頃に、わざわざ野原に行って、在来種のカントウタンポポを1株掘って来て、庭に植えて育てていたことがあった。


住宅地の道端ではカントウタンポポは見られなかったので、身近な場所にカントウタンポポが生えていれば、ちょっと人に自慢出来ると思っていたのだ。


で、私は庭に植えたカントウタンポポに肥料まで与えて大切に育てていた。


するとカントウタンポポは夏に葉を枯らして、夏眠するどころか、まるでホウレンソウのごとく大きな葉を繁らせ、どんどん巨大になって行った。


その様子は母に、「なんだかこのタンポポ美味しそうだね」と言わしめたほどである。


当時わたしはその生長具合を見て、「肥料が効いて来たんだな、しめしめ・・・」ぐらいにしか思っていなかったのだが、今こうして考えてみると、家の庭では他の草に光合成を妨げられるようなことはないのだ。


それに当時住んでいた家には、見上げるほどの大きなヤブツバキの木があって、夏に涼しい日陰を作ってくれていた。


これがカントウタンポポの生長にはよかったのかもしれない・・・・・・。


ちなみにこれまでずっと、在来種のタンポポのことを、「カントウタンポポ」と書いて来たのだが、当時の子供向けの図鑑には、在来種のタンポポは、「日本タンポポ」という大きな括りで紹介されていた。


このため子供の頃の私は、自分の住んでいる地域に自生している在来タンポポが、「カントウタンポポ」であることは知らなかった・・・・・・。


翌年の春、庭のカントウタンポポは、まるで花束のようにたくさんの花を咲かせた。


私は「友達に自慢するならいまだ!」とばかりに、「うちには日本タンポポの大株があって、いまたくさんの花を咲かせているんだ!」と、胸を張って話をした。


しかし残念なことに、友達は誰一人として、日本タンポポとセイヨウタンポポの違いが分からず、まずそこから説明を始めなければならなかったのだった・・・・・・。



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