たばことビールの自動販売機
▲商店街にいまも残るたばこ屋の前には、まだこのように、たばこの自動販売機が置かれているが、最近はそれ以外の場所ではほとんど見かけなくなってしまった・・・・・・。
私が子供の頃は、まだ町のあちこちに「たばこ屋」が残っていた。
たばこ屋は必ず四角い小さな看板を掲げていて、赤地に白い文字で「たばこ」と書かれているか、赤地の中央が楕円形に白く抜けていて、そこに黒い文字で「たばこ」と書かれていた。
たばこ屋は畳1~2畳程度の狭い店舗がほとんどで、大半の店は店内に客が入るスペースはなくて窓口販売だった。
たばこ屋の窓口(店の外側)には、赤い公衆電話が必ず置かれていて、たばこには用がない人も、電話をかけるために、たばこ屋の赤い看板を探したりしていたものだ。
ひとくちにたばこ屋といっても、店の形態は様々で、本業の片手間にやっている店もよく見かけた。
というか、そういう店の方が多かったと思う。
例えば酒屋や米屋、雑貨屋の横に、狭い店舗が併設されていて、たばこ屋の窓口には、その店のおばあちゃんが店番をしていることが多かった・・・・・・。
また、今では考えられない話だが、昭和の頃はたばこは誰でも買うことが出来た。
だからお父さんに頼まれて、子供がたばこ屋に煙草を買いに来ている光景をよく見かけたものだ。
子供にしてみたら、ただのパシリということになるのだが、当時は「お釣りはお小遣いにしていいよ」という父親が多くて、喜んで買いに来ている子供がたくさんいたものだ・・・・・・。
ところでたばこといえば、最近はたばこの自動販売機をあまり見かけなくなった。
その理由としては、「喫煙に対する社会の変化」としか言いようがない。
昭和の頃は自動販売機のたばこは、いつでも誰でも買うことが出来たが、そのうちに23時から5時の間は販売が中止となった。
そして、2008年3月からは、未成年でもたばこを自由に変えることが問題視され、成人識別ICカード「taspo(タスポ)」が導入された。
しかし、taspoで使用している通信回線サービスが終了することから、これに合わせて2026年3月末でサービスは終了することとなった。
また、最近はコンビニエンスストアでたばこを買う人が増えて、自動販売機の需要が減り、自動販売機そのものが数を減らしているようだ・・・・・・。
▲閉店した酒屋の前にいまも残るたばこの自動販売機。たばこの自動販売機の横に置いてあった、ビールの自動販売機はすでに撤去されてなくなっていた。個人商店が相次いで閉店して、管理する人がいなくなったのもその要因だと思われる・・・・・・。
さらに極めつけは、昭和の頃(約50年前)の男性の喫煙率は、なんと8割以上もあったというが、現在では3割以下にまで減少しているのだそう。
その数字が示すように、当時はあの国民的アニメ「サザエさん」の作中でも、波平さんやマスオさん、ノリスケさんは、家族の集まる居間で、平然とたばこを吹かしていたものだが、現在では懐からたばこを取り出すシーンは出て来なくなった。
このように喫煙者そのものが減少したことが、たばこの自動販売機を見かけなくなった一番の要因かも知れない。
いつの間にか町からたばこ屋が消えてなくなって行ったように、「昔はたばこの自動販売機があったよね」なんていう時代が、もしかしたら近い将来、やって来るのかもしれない・・・・・・。
自動販売機といえば、ビールの自動販売機も最近は見かけなくなった。
昭和の頃はジュースやたばこの自動販売機といっしょに、町のあちこちで見かけたものだが、いつの間にかどこに行っても見当たらなくなっていた。
そもそもの話、昔はビールは酒屋に注文して配達してもらうものだった。
サザエさんに出て来る三河屋のサブちゃんのように、御用聞きが町内を回っていた時代があったのだ。
ビールの自動販売機が一般的になって行ったのは、アルミ缶が誕生したことや、時代と共にライフスタイルが変化して行ったことなどが上げられる。
一人暮らしや共働きの世帯が増えると、酒屋による御用聞きや配達は逆に都合が悪くなり、仕事帰りに自宅近くの自動販売機でビールを買える方が、当時のライフスタイルには合っていたのだ・・・・・・。
ビールの自動販売機の設置台数は、1992(平成4)年がピークで、その後は少しずつ減少して行く。
その理由としては、たばこの自動販売機と同様に、未成年でも自由にビールを買えることが問題視され、メーカーが設置を自粛するようになって行ったためといわれている。
昭和の頃の不良のイメージは、体育館の裏でたばこをプカプカと吹かし、学校帰りの公園で自動販売機で買ったビールをグビグビと飲んでいる・・・・・・、昭和世代の人なら、そんな光景をどこかで見たことがあるという人も少なくないだろう。
自動販売機に年齢制限がかけられたり、町から撤去が進んだ現在では、不良も喫煙や飲酒は行わず、きっと健康的な不良生活を満喫しているに違いない・・・・・・。
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