ファミコンのバッテリーバックアップ
▲ドラクエは「Ⅲ」からバッテリーバックアップ機能が搭載されたカートリッジが採用され、「ふっかつのじゅもん」からは開放されることになったのだが・・・・・・。
ファミコンの周辺機器、「ファミリーコンピューターディスクシステム」は、1986(昭和61)年2月21日に任天堂から発売になった。
ディスクシステムでは、ソフトの供給は専用の黄色いディスクカードで行われ、セーブが簡単に出来ることが売りの1つになっていた。
しかし、この当時の磁気ディスクは技術的にまだまだ未熟であり、容量がそれほどないうえに、読み込み時間が非常に長いことがネックになっていた。
この点をサードパーティー各社に敬遠され、結果的にディスクシステムは、ファミコン本体ほどの爆発的なヒットとはならなかったのだった・・・・・・。
そんな中、満を持して登場したのが、バッテリーバックアップ機能が搭載された大容量のカートリッジだったのである。
ここでちょっと、ファミコンのカートリッジの仕組みについて解説をしておこうと思う。
ファミコンのゲームソフトでは、カートリッジに入っている様々なデータは、ファミコン本体の電源をONにすると、RAMと呼ばれる場所に一時的に読み込まれることになる。
ちなみにRAMとはパソコンでいうところのメモリに当たる部分になる。
そしてCPUがそこからデータを取り出すことでゲームがスタートする。
そしてRAMにはそれだけではなくて、プレーヤーのゲームデータも全て収められている。
例えばドラクエでいえば、レベルはいくつか、現在の経験値はいくつか、現在どこにいて、どんな装備をしているのか、所持金はいくらで、持ち物は何を持っているのかなどがそれに当たる。
しかし、RAMはゲームデータの一時的な置き場所なので、ファミコン本体の電源を切ってしまえば、データは全て消えてしまうことになる。
このため、「初代ドラゴンクエスト」や「ドラゴンクエストⅡ」では、ゲームを再開するために、「ふっかつのじゅもん」が必要だったのだ・・・・・・。
そこで誕生したのが、バッテリーバックアップ機能を搭載したカートリッジだったのである。
で、ゲームデータをセーブするためには、どういった手続きが必要になって来るのかというと、簡単に言うなら、ファミコン本体のRAMから、プレーヤーのゲームデータだけを抜き出して、カートリッジの側に保存しておく必要がある訳だ。
前述の通り、ファミコン本体のRAMは、ゲームデータの一時的な置き場所でしかないので、電源を切ればゲームのデータは全て消えてしまう。
そこでカートリッジの中に専用のRAMを搭載し、それを電池と繋げることで、電源が切れないようにしたのが、バッテリーバックアップ機能付きのカートリッジだったのだ。
子供の頃はべつになんとも思っていなかったが、いまこうして考えてみると、「なんだか強引な発想だったのだなぁ」と思う・・・・・・。
▲カセットの裏面には、「バックアップカセットについてのお願い」が書かれていたが、使用方法をきちんと守っていても、セーブデータはよく消えていた・・・・・・。
そしてこのバッテリーバックアップ機能が搭載されたカートリッジの登場で、ドラクエは「Ⅲ」からは、「ふっかつのじゅもん」から解放され、ワンタッチでセーブが出来るようになった。
このことによって、「ふっかつのじゅもん」を書きとめる手間と、書き間違えのリスクはなくなったものの、バッテリーバックアップに何も問題がなかったという訳ではなかった。
じつはこのバッテリーバックアップ、セーブデータがよく消えるという致命的な欠陥があったのである・・・・・・。
どういうことかというと、セーブデータが入っている「ぼうけんのしょ」を選んで、コントローラーの決定ボタンを押すと、次の瞬間になぜか突然、「呪いの音楽」が流れ始め、真っ黒な画面に白い文字で、
おきのどくですが
ぼうけんのしょ1ばんは
きえてしまいました
と、唐突に表示されることがあったのである・・・・・・。
ファミコン版の「ドラクエⅢ」をプレイしたことのあるかたなら分かると思うが、「ドラクエⅢ」は容量不足の影響で、タイトル画面は真っ黒なバックに、「DORAGON QUEST」の白い文字だけが小さく表示されていて、BGMも一切なく無音だった。
そんな静寂の中で、突然の大音量で、おどろおどろしい「呪いの音楽」が流れ始めたら、驚かない訳がない。
心臓に悪いとは正にこのことである。
そして極めつけは、真っ黒な画面に淡々と表示される、
おきのどくですが
ぼうけんのしょ1ばんは
きえてしまいました
という簡潔なメッセージだった。
なんだかそれは、「昨日まで元気にいっしょに遊んでいた友達が、突然パタリと倒れて死んでしまいました」と宣告されているかのようで、当時は多くの子供たちが、トラウマになるほどの衝撃を受けたものである・・・・・・。
そしてこの時に流れる「呪いの音楽」は、日常生活の中で、個人的に何かただならぬショックを受けた時などに、「デデンデン、デンデン ♪」と呟くことで、周囲の者に対して、自己申告をすることにも使用されていた。
例えば返って来たテストの点数が、信じられないくらい悪かった時などに使用され、「ああ~、あいつ相当点数が悪かったんだな~。しばらく話しかけないでおいてやろう・・・」と、周りに気を使ってもらったりしていたものである。
また、先生によっては、採点したテストを返す時に、突然「デデンデン、デンデン ♪」と、呪いのBGMを奏で始め、「W辺くんは答案用紙に名前を書き忘れていたので、お気の毒ですが、今回のテストは0点です」と、ぶっきらぼうに宣言し、「W辺くん」を闇の世界へ葬り去ったこともあった・・・・・・。
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