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2024年3月18日 (月)

修学旅行の木刀

Photo_20240318164801
▲これは私が小学校の修学旅行で、日光に行った時に買って来た木刀。買ったはいいものの、これといった使い道もなく、部屋の片隅でほこりだらけになっていたものを引っ張り出して来て撮影した・・・・・・。

昭和の頃は有名な観光地に行くと、なぜか必ずと言っていいほど木刀が売られていた。


その土地にゆかりのある武士や、歴史上の人物がいたというのなら話は分かるが、なぜここに木刀が置いてあるのか、理解に苦しむような場所でも、当たり前のように売られていた。


子供の頃はべつに気にもしていなかったが、いまこうして考えてみると、なんだかおかしな話である・・・・・・。


私が初めて木刀の存在を知ったのは、小学生の頃に修学旅行で日光に行った時だった。


土産物屋が立ち並ぶような場所では、どの店へ入っても、木刀は店先の一番目に付く場所に、大量に立てて置かれていた。


いまになって冷静に考えてみれば、「木刀なんて買ったところで、いったい何に使うんだよ」と思うのだが、当時はクラスの男子はほぼ全員が、真っ先に木刀を買っていた。


大馬鹿者とは正にこのことである・・・・・・。


一方、女子は誰一人として木刀などには興味はない様子で、店の奥に置かれているキーホルダーや、小さな置物を手に取って眺めていた。


キーホルダーや置物は、小さくてかさばらず、ある程度数を買っても、小さな紙袋1つに収まる。


正にお土産には最適で、誰が見ても賢明な選択といえよう・・・・・・。


それに引き換え、男子が買った木刀は、かさばるとかかさばらない以前の問題で、持ち運ぶには雨上がりの傘のように、片手で持って歩くしか、方法がなかった。


しかも、男子小学生にそんなものを持たせたら、絶対に振り回したり、チャンバラごっこを始めるやつが現れるだろう。


これについては雨上がりの傘で、とっくの昔に証明済みである・・・・・・。


そして学校側もそれは事前に予想していたらしく、木刀は買って間もなくして、それぞれに名札を付けられて、担任に没収され、荷物として配送されることとなった。


その手際の良さから考えて、学校側は男子生徒のほぼ全員が木刀を買うことは、事前に予想していたということだろう。


ということは、修学旅行の時に男子が木刀を買うのは、もはや我が校の伝統になっていたということなのだろうか・・・・・・。


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▲数十年の時が経過して、文字は薄くなってしまっていたが、木刀にはしっかりと「日光山」と記されていた・・・・・・。

後で聞いた話だが、木刀は他のクラスの男子も、大半の生徒が買っていたらしく、学校に木刀が届いた時には、クラスごとに束ねられて、運ばれて来ていた。


その様子はまるで、店のバックヤードに納品されて来た、何かの商品のようだった。


それにしても、これが他校でも同様だったとしたら、昭和の観光地の土産物は、木刀だけで相当な売り上げになっていたに違いない・・・・・・。


そしてその後、木刀は事前に取り付けてあった名札をもとに、個々に配られることになるのだが、修学旅行先では、あんなに欲しかった木刀なのに、学校に帰って来た途端に、その熱はまるで潮がサーっと引いて行くように、急速に冷めて行っていた。


そして、自分の名札の付いた木刀が手元に届いた頃には、「なんでこんなものが欲しかったんだろう?」と、誰もが疑問に感じていたものである。


そしてその後、木刀はそれぞれの家へ持ち帰ることになるのだが、自宅ではこれといって使い道もなく、部屋の片隅に立てかけられたり、傘立てに入れられたりして、そのまま部屋の風景に溶け込んで、その存在はじょじょに忘れ去られて行くことになるのである・・・・・・。


ところで、ある日、友達の家へ遊びに行った時、部屋に見覚えのある木刀が3本も置いてあるのを発見し、たいへん驚いたことがあった。


私はそれを見て、彼が性懲りもなく、旅行に行くたびに、木刀を買って来ているのかと思い、「こいつは学習能力がないのか?」と疑ったのだが、話を聞いてみると、どうやらそうではなかったらしい。


じつは3本のうちの2本は、彼の2人の兄のもので、やはり小学校の修学旅行の時に買って来たものだという。


その話を聞いて、私は思わず「え?」と絶句した。


ということは、彼は過去に兄の失敗を2度も目撃して来ていたことになる訳だ。


そこでちょっと確認だが、木刀が家に来てから、何か役に立ったことはあるだろうか?


また、2人の兄が木刀を何かに利用しているのを、見たことがあるだろうか?


もしかして、木刀は家にやって来た当日に、部屋の片隅に追いやられ、そのまま埃だらけになって行ったのではないのか?


そしてその様子を2回も目撃していたにも関わらず、なんで彼は木刀を買おうとしているクラスメートを止めなかったのか?


いや、それ以前に、「なんでお前まで木刀を買ってんだよ」という話である。


そのことを彼に問い質すと、「そうなんだよなぁ。それは木刀を持って帰って来た日に、母ちゃんにも言われたよ」という。


続けて彼は、「頭では分かってたんだよ。でもさぁ、土産物屋に入って、木刀を見た途端に欲しくてたまらなくなったんだよ。家にあるのは、兄ちゃんのだし・・・」というのだ。


そして彼の母親は、兄弟そろって、3回も木刀を買って来たのを目の当たりにして、呆れてものも言えない様子だったという。


そして、たったひと言、「きっと、土産物屋には魔物がいるに違いない」とポツリと呟いたそうである・・・・・・。


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