「昭和の遊具」ブランコ
▲最近はブランコで遊んでいる小学生はあまり見かけなくなってしまった・・・・・・。
最近はブランコに乗って遊んでいる子供は、お母さんと一緒に公園に遊びに来ている、小さな子供ばかりになってしまったが、私が子供の頃は、じつに幅広い年齢層の子供が、ブランコで遊んでいたものである。
そして、当時ブランコで遊んでいた子供たちの中で、最も多く見られたのが、「クソガキ」の異名を持つ小学生だった・・・・・・。
ところで、ブランコの製造業者が想定しているであろう、「ブランコの正しい遊び方」は、ブランコの板に座って、足で地面を蹴って、ブランコを揺り動かす、オーソドックスな遊び方だと思う。
幼い頃は誰もがそうして遊んでいたと思うのだが、小学生ぐらいになって来ると、誰もそんな遊び方をしている者はいなかった・・・・・・。
特に男子は立ち漕ぎが主流となり、身体全体を使って、ブランコを漕いでいた。
そして学年が上がると筋力もアップし、それに比例するように、ブランコの揺れ幅が大きくなっていった。
そしてブランコの最高到達点も、じょじょに上がって行くことになるのだ・・・・・・。
ブランコの最高到達点が上がって行くにつれて、足をしっかりと踏ん張っていないと、空中で宙ぶらりんになるかもしれないという恐怖や、そこから転倒して大怪我をするリスクも頭をよぎっていた。
しかし、それ以上に、「自分は自分の力だけで、こんなに高い所にいるんだ」という満足感と、「もしかしたらここから空中に投げ出されるかもしれない」というスリルを、どうしても味わいたかったのである。
この「高さ」を追求する立ち漕ぎは、ガチンコの真剣勝負ではあったものの、友達と勝ち負けを競うような類の遊びではなくて、正に自分自身との戦いと言っても過言ではなかった・・・・・・。
これに対して、ブランコの立ち漕ぎでは、シンプルに友達と勝ち負けを競い合う、ゆる~い遊びも存在していた。
立ち漕ぎをしながら、友達と順番に靴を飛ばし合い、その距離を競う、「靴飛ばし」がそうである・・・・・・。
靴飛ばしで距離を出すためには、先程のようにブランコをただ勢いよく漕げばいいという訳ではなかった。
勢いよく漕いで、ブランコの最高到達点から靴を飛ばした方が、より遠くまで飛んで行きそうに思うのだが、実際には高速で揺れるブランコの上では、バランスがとりづらく、片足になるのは非常に危険だった。
また、高速だとタイミングも測りにくいので、仮に靴を飛ばすことが出来たとしても、ブランコの下にポトリと落ちるのがいいところだろう。
そんな訳で、靴飛ばしでは、緩やかな振り子運動から、タイミングを見計らって、靴を飛ばすのが正解だった・・・・・・。
私が子供の頃には、この靴飛ばしで遊んでいる子供が結構いて、ブランコの前を通る時は特に注意が必要だった。
しかし、そうとは知らずに、ブランコの前を「ぼけ~っ」と歩いている、間抜けな子供が毎回必ず一人はいて、突然視界の外から、ロケットのように飛んで来た靴が、測ったように顔面に着弾するという、なんとも悲惨な光景を当時はよく見かけたものである・・・・・・。
▲昭和の頃はブランコの順番待ちをしている子供もいたのに、最近はもうそんな光景は見られなくなってしまった・・・・・・。
また、靴の代わりに、自分自身が振り子運動を続けるブランコから飛び降りて、その時の着地点の距離を友達と競うという遊びもあった。
この遊びでは、立ち漕ぎでブランコにある程度の勢いをつけたら、すぐにブランコの板の上に腰かける必要があった。
そしてちょうどいいタイミングを見計らって、ブランコから勢いよく飛び降りるのだ。
そしてその時の着地点の距離を、隣の友達と競うのである・・・・・・。
で、この遊びでは、ブランコから飛び降りる、「ちょうどいいタイミング」を見極めるのが、最も重要なポイントだった。
これを見誤ると、想定より手前に着地してしまって天を仰いだり、その反対に距離が出過ぎて、重心が後ろに残る形となり、その場で転倒して後悔するなんてこともよく起きていた。
当然この時の記録は、尻もちをついた場所になる・・・・・・。
そして、一番注意しなければいけないのは、どんな形であれ、着地した後は、その場からすぐに避難しなければならないということだ。
そう、当たり前の話だが、ブランコという乗り物は、数秒後には、必ず元の場所に戻って来るのである。
タイミングを逸したことを、その場で後悔している暇などないのだ。
天を仰いでいる暇があったら、さっさとその場から離れるべきである。
そんなことは頭では分かっているはずなのに、いざ当事者になってみると、「あ~~っ、もうっ!」などと、悔やんでも悔み切れない気持ちが先行して、振り子運動で素直に戻って来るブランコの板に全く気付かず、背中や後頭部を「ゴツン!」と強打することになるのである・・・・・・。
最悪なのは、ジャンプで転倒して起き上がろうとしている時に、後頭部に「ゴツン!」が来た時で、その衝撃で今度は前のめりになって、思いっ切り、顔面から地面に着地することになるのである。
そして被害者にはたいへん申し訳ないのだが、傍目にはその様子は非常に間抜けに見えて、思わず「プッ!」と吹き出してしまい、みんなで涙を流しながら、爆笑していたのを覚えている・・・・・・。
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