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2024年4月 5日 (金)

気付かれていなかったおなら

Photo_20240405165301

私は仕事で机に向かっていると、ふとおならがしたくなることがよくある。


どうも1つのことに集中していると、不意におならがしたくなる、困った体質のようだ。


周りに誰もいないのなら、何の気兼ねもなく、一発派手にぶちかましてやるところだが、近くに誰かがいたりすると、さすがにそうもいかない。


この日、部屋には私以外にもう一人、里帆さん(仮名)がいるだけで、他には誰もいなかった・・・・・・。


里帆さん(仮名)は私の正面の席に座っていて、机に突っ伏すような姿勢で仕事をしていた。


どうでもいいが、こんな姿勢で机に向かっていたら、学生時代だったら、まず間違いなく先生に、「目が近~いっ!」と即座に指摘され、おでこをグイッと持ち上げられて、無理矢理姿勢を矯正させられているところである。


そんなことを考えていたら、私は里帆さん(仮名)の姿勢がなんだかとても滑稽に見えて来て、思わず「プッ!」と吹き出してしまいそうになった。


しかし、里帆さん(仮名)は真剣に仕事をしているのだから、笑ったりしたらさすがに悪いと思い、私は吹き出すことはなんとか必死に堪えた・・・・・・。


しかし、うかつなことに、その時に下腹に力が入ってしまい、堪えていたおならが、中途半端に甲高い音で、「プ~~ゥ!」と出てしまった。


幸いなことにそれほど大きな音はしなかったのだが、部屋には私と里帆さん(仮名)以外、誰もいなかったので、シーンと静まり返った部屋に、私の放屁の音だけがバカみたいに鳴り響いていた。


だからきっと里帆さん(仮名)も、先程の「プ~~ゥ!」という間抜けな音には、どう考えても気付いているはずである・・・・・・。


そう思って、恐る恐る里帆さん(仮名)の顔を覗き込むと、何と信じられないことに、彼女は先程と全く同じ姿勢のまま、仕事に集中している様子だった。


「もしかして私のおならには気付いていないんじゃないか?」という気もしたが、普通に考えたら、こんなに静まり返った部屋で、さすがにそれはあり得ないだろう。


もしかしたら里帆さん(仮名)は、私に気を使って、おならのことについては、触れないでいてくれているのかもしれない。


それならそれで、私も知らんぷりをしておくのがいいのかもしれない・・・・・・。


Photo_20240405165302

しかし、机に突っ伏したような姿勢で、黙々と仕事を続けている里帆さん(仮名)の姿を見ていると、なんだか本当に私のおならには、気付いていないんじゃないかとさえ思えて来る。


そんなことを考えていたら、私は事の真相がどちらなのか、無性に知りたくなって来た。


そこで私は思い切って里帆さん(仮名)に、「さっき、おならが出ちゃったんだけど気付いた?」とストレートに聞いてみた。


すると里帆さん(仮名)は、突然私に話しかけられて驚いた様子で、「えっ、なんですか⁉」と、机に突っ伏したような姿勢から、急に顔を上げた・・・・・・。


そして、「あれ?いまなんか言いました?」と寝ぼけたようなことを聞いて来た。


「(もしかして寝てたんじゃないよね?)」という、若干の疑念を抱きつつ、私は先程の質問をもう一度繰り返した。


すると里帆さん(仮名)は、「えっ、おならですか?全然気付きませんでしたけど?」と言うではないか。


もしそれが事実だとするなら、私は黙っていれば気付かれなかったことを、わざわざ里帆さん(仮名)に自己申告をして、恥をかいただけということになる。


しかし、里帆さん(仮名)は、「気付かなかった」と言っているが、先程のおならはそこそこ音もしたし、静かな部屋の空気をまあまあ振動させていたと思うのだ・・・・・・。


そこでそのことを里帆さん(仮名)に告げると、「わたし、集中してると、周りの音が聞こえなくなる方なんです。だから話しかけられていても、気付かないこともあるんですよ」というではないか。


また、里帆さん(仮名)はちょっと気になることも言っていた。


「あ、でも、おならは気付きませんでしたけど、なんか美味しそうな匂いが漂って来るな~とは思ってました」


え、美味しそうな匂い?


私はあの時、自分のおならのことで頭がいっぱいだったせいか、そんな匂いには全く気付いていなかった。


いったいどんな匂いだったのだろう。


気になって里帆さん(仮名)に、そのことを尋ねてみると、「えっと、ホワイトシチューみたいな匂いでしたよ」というではないか。


この部屋には私と里帆さん(仮名)しかいないし、誰も料理なんてしていない。


ということは、そのホワイトシチューの匂いは、外から漂って来ていたとしか考えられない。


しかし、あのとき部屋の窓やドアは全て閉まっていたし、誰も部屋に出入りしたりはしていなかった。


ということは、里帆さん(仮名)のいう、「ホワイトシチューの匂い」は、どう考えても、この部屋の中に匂いの発生源があったということになるだろう。


「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」


しばしの沈黙の後、私たちは顔を見合わせながら、ほぼ同時に「おなら?」と言っていた。


たった3文字の言葉なのに、びっくりするほど美しいハーモニーになったことに驚いて、私たちはまたしても顔を見合わせて、馬鹿みたいに笑い出すことになったのだった・・・・・・。


(画像上、早咲きの横浜緋桜はソメイヨシノが咲く前に見ごろを迎える・・・・・・。画像下、ノジスミレは花付きがいい株が多い・・・・・・)


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