「あかなめ」と「枕返し」
個人的には妖怪というと、人気の少ない場所で、気配を消して、ひっそりと暮らしているイメージが強い。
このため人間がその姿を目撃することはめったにない。
だからこその「妖怪」であり、これが日常的にしばしば目撃される存在であったら、きっと別の呼び方になっていたことだろう・・・・・・。
ところが妖怪の中には、大胆にも人の生活空間に、堂々と侵入してくるものもいる。
例えば「あかなめ」という妖怪は、住人も寝静まった深夜にその家の風呂場に出現する。
人もいない風呂場で、いったい何をしようというのか・・・・・・。
じつは「あかなめ」は、人のいない風呂場で、浴槽に付着した垢をペロペロと舐めているのだ。
「それで?」と思うかたも少なくないだろうが、「あかなめ」がする行動は、その一点に尽きる。
他にはいっさい何もしない・・・・・・。
住人の寝静まった深夜の出来事なので、人間の側からしたら、深夜の風呂場でそんなことが起きているなんて知る由もなく、「あかなめ」の侵入については、永遠に気付くことはないのである。
ただ、浴槽を洗う時に、「最近いやにヌメリがひどいな~?」とは感じるかもしれない・・・・・・。
「あかなめ」が来訪する頻度は定かではないが、風呂の水を替えずに入った日に限って、前日の深夜に「あかなめ」が来ていたりすると、ひじょうにやっかいである。
お風呂に浸かって、「ホッ」と一息ついていたら、ふと浴槽のヌメリに気付いて、「ああ、やっぱり水を替えておけばよかったな・・・」などと思っても、時すでに遅しである。
そのヌメリがただの汚れではなく、「あかなめ」のよだれだったなんて、思いもしないだろうが、そんな経験があるかたは、注意した方がよいだろう。
もしかしたら「あかなめ」は、あなたの家の風呂場の常連で、「ここの家の垢はひと味違う!」などと、太鼓判を押されている可能性もある・・・・・・。
風呂に入ってさっぱりしたら、後は寝るだけである。
しかし、妖怪の中には、深夜に寝室に現れるものもいるので、うかうかしてはいられない・・・・・・。
先ほどの「あかなめ」は、人に危害を加えるようなことはなかったが、深夜に寝室に現れる「枕返し」という妖怪は、熟睡している人に対して、いたずらのような、謎の行動を仕掛けて来る。
いったい何をして来るのかというと、「枕返し」という名前にもあるように、枕を素早く抜き取って、それをひっくり返して、「サッ!」と元に戻したり、抜き取った枕を投げ捨てたりして来る。
また、布団を「ガバッ!」とめくって、寝ている人の体の向きを、上下逆に入れ替えたりもする。
いったい何のためにそんなことをして来るのか、全くもって理解に苦しむ。
それを実行することによって、相手が起きてしまう可能性もあるわけで、そんなリスクを冒してまで、やることの意味が分からない・・・・・・。
人間の側からしたら、朝起きた時に感じる寝違えや体の痛みは、恐らくこいつのせいだろう。
また、十分寝たのに「寝た気がしない」とか、寝ていただけなのに、「なぜか疲れた」という時も、「枕返し」が現れていた可能性がある。
「もう、やめてくれよ~」という話である・・・・・・。
先ほども書いたが、「枕返し」のこれらの行動は、非常にリスクが高い。
それにもかかわらず、それを実行して来るということは、想像するにこれは仕事なのではないか。
いったいどこから給料が出ているのかは謎だが、夜遅い勤務ということもあり、きっと深夜手当が付くのだろう。
さらにオフィスに出社するわけではないので、恐らくは出張手当も付いているはずだ。
さらに相手を起こさずに、職務遂行をするためには、それなりに経験と技術が必要になって来る。
当然、技術手当的なものも付くだろう。
そう考えると「枕返し」って、意外と高給取りなのではないか?
人の安眠を妨害しておいて、高額な給料を手にしているなんて、非常に腹が立つ話である・・・・・・。
(画像上、イロハモミジがきれいに紅葉した・・・・・・。画像下、日光浴をしている顔見知りの三毛猫・・・・・・)
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