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2025年4月 2日 (水)

ふきあげパイプ

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駄菓子屋で売られていたおもちゃというのは、お正月のお年玉を使ったり、クリスマスに親にねだって買ってもらうような高級なおもちゃではなく、何かを我慢すれば、普段でも簡単に手に入るような、安価なものばかりだった。


そしてそれらは、値段が値段だけに、購入して遊んだところで、満足感や充実感はあまりなくて、「だから何?」と感じるようなものばかりだった・・・・・・。


例えば「ふきあげパイプ」というおもちゃをご存知だろうか。


「ふきあげパイプ」のパイプとは、首の部分が大きい、西洋風のキセルのことで、専用のたばこを吸うための道具のことである。


日本では映画の中で見かけるくらいで、実際に使っている人に遭遇することはまずない。


ちなみに私が子供の頃に見た、パイプでたばこを吸っている日本人は、ジャイアント馬場ぐらいだったと思う。


そんなこともあって、子供にとっては、たばこを吸うための道具としてのパイプは、全くリアリティがなかったのだが、「ふきあげパイプ」に関しては、お馴染みのおもちゃで、色々な場所で売られていたのを覚えている・・・・・・。


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「ふきあげパイプ」はプラスチックで出来たパイプ型のおもちゃで、パイプの先端に小さなカゴが付いていて、その中に軽いプラスチック製の小さなボールが入っていた。


そしてパイプの口から息を「プーーッ!」と吹き込むことで、カゴの中の小さなボールがフワフワと浮き上がるのだ。


パイプとはいうものの、息を吸い込むのではなく、息を吐くという、本物のパイプとは真逆のことをしなくてはならないのである・・・・・・。


ふきあげパイプは、ただそれだけのおもちゃなのだが、ボールが目の前でフワフワと浮き上がるという現象が、まるでマジックでも見ているかのような不思議さもあって、当時の子供たちにはとても人気があった。


しかも、マジックだったら、ある程度の練習が必要だが、ふきあげパイプは何の練習もなしに、簡単にボールを浮かせることが出来るのだ。


そんな人気のふきあげパイプだったので、それなりに売れる商品だったらしく、駄菓子屋だけではなくて、文房具屋や雑貨屋などでも売られていて、当時は見る機会の多いおもちゃだった・・・・・・。


ふきあげパイプはそれ単独で遊ぶというより、座卓やテーブルの上に置いてあって、テレビのCM中に手に取って、ボールを浮かせたり、何もすることがなくて、暇を持て余している時などに手に取って、ボールをフワフワと浮かせて楽しんでいたものだ。


そういう意味では喫煙者がたばこを吹かす時と、さして変わらなかったのだな~と、いまになって思ったりする。


このおもちゃをパイプの形にしようと思った開発者が、そこまで考えて作ったかどうかは定かではないが、もしそうだったとしたら、さすが目の付け所が違うとしかいいようがない・・・・・・。


ところでこのふきあげパイプというおもちゃは、外に持ち出して遊ぶことは出来なかった。


なぜかというと、ふきあげパイプは本体もボールも軽いプラスチック製だったので、外でボールをフワフワ浮かせていると、そよ風くらいの弱い風でも、その影響をもろに受け、あっという間にボールはどこかへ飛んで行ってしまったのだ・・・・・・。


そんなわけで、うちではふきあげパイプは、いつもテレビの前の座卓の上に置かれていて、暇さえあればパイプを咥えて、ボールをフワフワ浮かせていた。


そんな私を見て、両親は「こいつ将来、ヘビースモーカーになるんじゃないか?」と心配していたが、結局のところ、私は大人になっても、たばこを吸うことは、いっさいなかったのだった・・・・・・。


(画像上、歩道に沿って細長い群落を作っているスミレ・・・・・・。画像下、里山ではミツバツツジが咲き始めた・・・・・・)



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