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2025年6月18日 (水)

ビデオCD

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▲セガサターンは背面の拡張スロットに、周辺機器として発売された、セガサターンムービーカードを差し込むことで、ビデオCDを再生することが出来た・・・・・・。

ビデオCDをご存知だろうか。


当時映像メディアの主流だったVHSと、次世代メディアと呼ばれて、まだ世に出ていなかったDVDの橋渡しの役割をするべく登場した、デジタルビデオ規格のことである。


ちなみにビデオCDが登場したのは1993(平成5)年で、DVDの開発が始まった年とピタリと重なる・・・・・・。


ビデオCDは1枚のCDの中に映像と音声を約74分記録することが出来た。


しかし、容量が小さいため、映画作品では2~3枚組で発売する必要があった。


また、ビデオCDの映像画質は、VHSの3倍モードと同程度といわれていた。


これについては、ビデオCDは650MBしか容量がなかったため、高圧縮にせざるを得なかったためといわれている・・・・・・。


ビデオCDの中身はMPEG1という規格のムービーファイルだったので、MPEG1が再生出来るパソコンでも再生することが出来た。


しかし、画質がいまひとつだったことや、ビデオCDに対応していないDVDプレーヤーもあったことなどから、映像タイトルとしての発売は、カラオケやアニメばかりだった・・・・・・。


また、当時はアダルト雑誌の全盛期で、書店に多くの成人向け雑誌が置かれていた。


ビデオCDはこれらの雑誌の付録として付いて来ることも少なくなかった。


ビデオCDが登場する以前は、雑誌に映像メディアが付録として付いて来ることなど、常識的に考えられなかった。


それがビデオCDが世に出てから、よく見かけるようになり、DVDの時代に入ると、もはや誰も驚かない、当たり前の光景になっていた。


これはビデオCDの功績といってもいいのかもしれない。


そんなビデオCDだったのだが、商業的には失敗に終わり、活用された期間はわずか数年ほどだった・・・・・・。


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▲セガサターンの拡張スロットは、普段は本体と同色の蓋がはめられていた。周辺機器に興味がなかったかたは、最後までこの蓋を開けることはなく、こんな拡張スロットが隠されていたことも知らなかっただろう・・・・・・。

このように映画などの映像ソフト自体は、全く普及しなかったビデオCDなのだが、再生機能そのものは、様々なプレーヤーに搭載されていた。


家庭用ゲーム機のセガサターンは、背面に装備されていた拡張スロットに、周辺機器として発売になった「セガサターンムービーカード」を差し込むことで、セガサターン本体でビデオCDの再生が可能だった。


拡張スロットは普段は本体と同色のカバーで蓋がされていて、気付いていない人も少なくなかったと思う・・・・・・。


セガサターンでは市販のビデオCDの再生のみならず、専用のゲームソフトも発売されていた。


結果的にムービーカードの専用ソフトは、「ルナシルバースターストーリーMPEG版」だけだったが、対応ソフトは10本以上のラインナップがあった・・・・・・。


セガサターンに限らず、当時発売されていた、「次世代ゲーム機」と呼ばれていたハードでは、「マルチメディア」という謳い文句がしきりに使われていて、ただのゲーム機ではなく、様々なメディアを再生可能なプラットホームを目指していたように思う。


ちなみにセガサターンでは、ムービーカードの発売後に、「フォトCDオペレーター」、「電子ブックオペレーター」という、2種類のシステムディスクが発売されている。


これによりフォトCDや電子ブックの再生がセガサターン上で可能になった・・・・・・。


話が横道にそれてしまったが、ビデオCDに引導を渡したのはやはりDVDだった。


そしてそのDVDの普及に一役買ったのが、SONYのPlay Station2の発売だった。


皮肉なもので、何だか当時のセガとSONYを象徴しているような構図である・・・・・・。



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