ビデオCD
▲セガサターンは背面の拡張スロットに、周辺機器として発売された、セガサターンムービーカードを差し込むことで、ビデオCDを再生することが出来た・・・・・・。
ビデオCDをご存知だろうか。
当時映像メディアの主流だったVHSと、次世代メディアと呼ばれて、まだ世に出ていなかったDVDの橋渡しの役割をするべく登場した、デジタルビデオ規格のことである。
ちなみにビデオCDが登場したのは1993(平成5)年で、DVDの開発が始まった年とピタリと重なる・・・・・・。
ビデオCDは1枚のCDの中に映像と音声を約74分記録することが出来た。
しかし、容量が小さいため、映画作品では2~3枚組で発売する必要があった。
また、ビデオCDの映像画質は、VHSの3倍モードと同程度といわれていた。
これについては、ビデオCDは650MBしか容量がなかったため、高圧縮にせざるを得なかったためといわれている・・・・・・。
ビデオCDの中身はMPEG1という規格のムービーファイルだったので、MPEG1が再生出来るパソコンでも再生することが出来た。
しかし、画質がいまひとつだったことや、ビデオCDに対応していないDVDプレーヤーもあったことなどから、映像タイトルとしての発売は、カラオケやアニメばかりだった・・・・・・。
また、当時はアダルト雑誌の全盛期で、書店に多くの成人向け雑誌が置かれていた。
ビデオCDはこれらの雑誌の付録として付いて来ることも少なくなかった。
ビデオCDが登場する以前は、雑誌に映像メディアが付録として付いて来ることなど、常識的に考えられなかった。
それがビデオCDが世に出てから、よく見かけるようになり、DVDの時代に入ると、もはや誰も驚かない、当たり前の光景になっていた。
これはビデオCDの功績といってもいいのかもしれない。
そんなビデオCDだったのだが、商業的には失敗に終わり、活用された期間はわずか数年ほどだった・・・・・・。
▲セガサターンの拡張スロットは、普段は本体と同色の蓋がはめられていた。周辺機器に興味がなかったかたは、最後までこの蓋を開けることはなく、こんな拡張スロットが隠されていたことも知らなかっただろう・・・・・・。
このように映画などの映像ソフト自体は、全く普及しなかったビデオCDなのだが、再生機能そのものは、様々なプレーヤーに搭載されていた。
家庭用ゲーム機のセガサターンは、背面に装備されていた拡張スロットに、周辺機器として発売になった「セガサターンムービーカード」を差し込むことで、セガサターン本体でビデオCDの再生が可能だった。
拡張スロットは普段は本体と同色のカバーで蓋がされていて、気付いていない人も少なくなかったと思う・・・・・・。
セガサターンでは市販のビデオCDの再生のみならず、専用のゲームソフトも発売されていた。
結果的にムービーカードの専用ソフトは、「ルナシルバースターストーリーMPEG版」だけだったが、対応ソフトは10本以上のラインナップがあった・・・・・・。
セガサターンに限らず、当時発売されていた、「次世代ゲーム機」と呼ばれていたハードでは、「マルチメディア」という謳い文句がしきりに使われていて、ただのゲーム機ではなく、様々なメディアを再生可能なプラットホームを目指していたように思う。
ちなみにセガサターンでは、ムービーカードの発売後に、「フォトCDオペレーター」、「電子ブックオペレーター」という、2種類のシステムディスクが発売されている。
これによりフォトCDや電子ブックの再生がセガサターン上で可能になった・・・・・・。
話が横道にそれてしまったが、ビデオCDに引導を渡したのはやはりDVDだった。
そしてそのDVDの普及に一役買ったのが、SONYのPlay Station2の発売だった。
皮肉なもので、何だか当時のセガとSONYを象徴しているような構図である・・・・・・。
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