見えたぞ !! X-線メガネ
▲「見えたぞ‼X-線メガネ」の見た目は、このような「おもちゃのメガネ」だった。どこからどう見ても、これに透視の機能が内蔵されているとは思えなかった・・・・・・。
昭和の頃は、どんな雑誌にも、必ずといっていいほど、怪しい通信販売の広告が掲載されていた。
そしてそれらの広告は、誰がどう見ても、「絶対に嘘に決まっている」とか、「そんなうまい話があるわけがない」と感じるものばかりだった。
しかし、人間というのは、全く信用していなくても、心のどこかに、「もしかしたら、本当なんじゃないか?」と思う気持ちが少なからず残っていて、よせばいいのに、ついつい「体験者Aさん」のレポートに目を通してしまうのである・・・・・・。
そんな通販グッズ広告の1つに、「見えたぞ ‼ X-線メガネ」があった。
広告には、「透視メガネをかけると、なにもかも透視することが出来るようです」とある・・・・・・。
「なにもかも」とはいったいどういうことかと思っていると、そのすぐ下に、いくつかの例がしっかりと書かれていた。
「貴方の手の骨も」、「卵の黄身も」、「服を着ている人も見てごらん」、「何が見えるでしょう」とある。
そして極めつけは、マリリンモンロー風の女性のイラストが描かれていて、例の地下鉄の風でスカートがめくれているシーンが再現されている。
しかも、風に煽られたスカートがなぜかスケスケになっているではないか。
そしてその隣では、黒縁メガネの男が目を見開き、よだれを流している。
このイラストを見ると、どうもこの「見えたぞ ‼ X-線メガネ」は、大人の男性がターゲットだったようである・・・・・・。
▲「X光線人体透視メガネ」は左図のような筒状で、指先でつまめるほどの小さなものだった。小さな穴から中をのぞくと、確かに骨のようなものがぼんやりと見えていた(右図)・・・・・・。
で、この「見えたぞ ‼ X-線メガネ」は商品名の通り、メガネ型をしたグッズだったのだが、じつはこれには、「X光線 人体透視メガネ」という元ネタがあった。
ただし、こちらに関しては、メガネ型はしておらず、指でつまめるほどの大きさのグッズだった・・・・・・。
その形状は短い筒の上下に丸い蓋がついていて、蓋の真ん中に、小さな丸い穴が開けられていた。
そしてその丸い穴には、くもりガラスが取り付けてあった。
で、この穴をのぞくと、骨のようなものが、ぼんやりと見えていた・・・・・・。
ちなみに本来の使い方としては、「自分の手を日光に透かしながら、人体透視メガネでのぞいてみよう。なんと骨が透けて見えるではないか!」的なことだったようだ。
しかし、先にも書いたように、べつに手の平を透かさなくても、筒の中にすでに骨は見えていて、この時点でまんまと騙されたことを知り、天を仰いだ者が、当時どれほどいたことだろう。
ちなみにメガネ型をした、「見えたぞ ‼ X-線メガネ」の方も、仕組みとしては全く同じである・・・・・・。
ちなみにこの骨のように見えるものはじつは骨ではなかった。
じゃあ、いったいなんだったのかというと、鳥の羽を小さく切ったものが、内部に貼り付けてあったのだそう。
ただし、どんな鳥の羽でもいいというわけではなく、日本の国鳥、キジの羽でなくてはならなかった。
しかし、キジはどこにでもいる鳥ではないし、それなりに自然度の高いフィールドでなければ棲息していない。
しかもキジは乱獲が出来ないと来ている・・・・・・。
ちなみに日本で最も簡単に、しかも大量に入手出来る鳥の羽といえば、家畜であるニワトリの羽ということになるだろう。
ところがニワトリの羽には、「膜」があるそうで、「X-線メガネ」に使用すると、向こう側が透けて見えず、「透視している」というリアル感を再現することが出来ないのだそう・・・・・・。
そんなわけで、商品を製作する側は、キジの羽集めに苦労していたようなのだが、商品を購入する側は、べつに自分の手の骨など見たくもなくて、道行く女性のすっぽんぽんを拝みたかっただけなのである。
だからX-線メガネの中に何も入っていなかったとしても、べつにそんなことはどうでもよかったのだ。
そもそもの話、「たったの950円(送料共)」で服が透けて見えたりしたら、ドラえもんは誕生していなかっただろう・・・・・・。








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