エーカン
▲エーカンの本体はローラーが2つ付いたこんな道具だった。当時、私はエーカンを見たことがなくて、大人になってから知人に見せていただいた・・・・・・。
昭和の頃はどんな雑誌にも必ずといっていいほど、怪しい通信販売の広告が掲載されていた。
そしてそれらの広告は、誰がどう見ても、「絶対に嘘に決まっている」とか、「そんなうまい話があるわけがない」と感じるものばかりだった。
しかし、人間というのは、全く信用していなくても、心のどこかに、「もしかしたら本当なんじゃないか?」と思う気持ちが少なからず残っていて、よせばいいのに、ついつい体験者Aさんのレポートに、目を通してしまうのである・・・・・・。
そんな通販グッズ広告のひとつに、「エーカン」があった。
「あった」というよりも、「あったらしい」といった方が正しい。
というのも、私自身は当時エーカンの広告を見た記憶がないのだ。
「なんでだろう?」と思っていたところ、どうもエーカンの広告は、学年誌や少年誌には出ていなかったらしく、大人向けの週刊誌や、漫画雑誌に掲載されていたようなのだ。
私がエーカンの広告を見る可能性があった唯一の雑誌に、オカルト専門誌の「ムー」があったが、ムーは小、中学生では内容がまだ難しく、高校生ぐらいになってようやく、少し記事の内容を理解出来るようになって来るかもな・・・という雑誌だった。
そんなこともあって、私がムーをちゃんと読んだのは、もっと後になってからだと思うのだ・・・・・・。
▲エーカンは親指、人差し指、中指の3本の指でローラーを弾くというのが基本のスタイル。ビデオにはこの弾き方が数パターン紹介されている。ただそれだけのことなのに、お笑い番組よりバカバカしくてツボにはまって大笑いした・・・・・・。
で、そもそもの話、「エーカンとは何なのか?」についてだ。
ものすごく簡単にいうなら、「ペン習字のようなもの」なのだが、エーカンは美しい文字を書くために、ひたすら文字を書く練習をするのではなく、美しい文字を書けるようにするための、矯正道具のようなものといった方が適切だと思う。
エーカンのキットには、「速習ペン字講座」のテキストが3冊、「1回見れば簡単にできる、エーカンの正しい使い方」のビデオが1本、「ペンの持ち方矯正器」が1つ、「エーカン本体」が1つ、その他に各種チラシとカセットテープが1本という内容だったようだ・・・・・・。
で、エーカン本体をどのように使うのかは、付属のビデオテープを見れば一目瞭然だった。
ビデオを見ると、エーカン本体の持ち方は、薬指と小指でグリップを握り、親指と人差し指で、本体のローラーを弾くというのが基本のスタイルのようだ。
そしてビデオでは2つのローラーを弾いたり、指で転がしたりするトレーニングが数パターン紹介されている。
ビデオでは2つのローラーを指で弾いたり、転がしたりしている映像が延々と流れ続け、それをじっと見つめ続けていると、何だかバカバカしくなって来て、思わず「プッ!」と吹き出してしまいそうになる。
こんなことをしている暇があったら、テキストを見ながら、ひたすら文字を書く練習を続ける、従来通りのペン習字の方が、よほど上達するのではないか。
エーカンの雑誌広告では、「ひまな時に親指と人差し指と中指で本体のローラーを弾くだけで字がうまくなる」とアピールしていたらしい。
ところが実際のところは、テキスト3冊に解説されている、ひらがなカタカナ楷書体Ⅰ~Ⅳ、行書体Ⅰ~Ⅳ、草書体、手紙、書式文例集などで、みっちりと訓練しなくてはならず、最低でも1ヶ月は練習が必要だったという。
昭和の頃にエーカンを買った人たちは、「うまい話には裏がある」ということを、きっと身をもって知ったことだろう・・・・・・。










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