「関東ローカルのCM」パッチョのゆる~くいこう!
「火ぐまのパッチョ」をご存じだろうか。
念のために言っておくが、「火ぐま」は「ヒグマ」の変換ミスではなく、「火ぐま」で正しい。
「火ぐま」は人間よりも体が小さくて、寸胴で丸っこい体型をしている。
また、くまとはいうものの、とても穏やかな性質をしており、人を襲ったりすることはない。
それどころか、人の社会に適応し、共存して行くことも可能なようだ。
「火ぐま」にはなぜか尻尾がない。
そしてその代わりと言ってはなんだが、なんと「火ぐま」は人間のような、ぷりっぷりのおケツをしているのである。
また、「火ぐま」はくまとは言うものの体は青く、そのプリケツにはどう見ても体毛など生えていそうにない。
青い色のくまなんて見たことがないし、「もしかしてパッチョって、くまの着ぐるみを着た人間なんじゃないの?」という疑惑も浮上して来る。
しかし、あの青いプリケツは、どこからどう見ても生身のケツで、どうもその可能性は薄いようである・・・・・・。
じつは公式発表では火ぐまのパッチョの青い体色は「ガスの炎の色」とのこと。
そういえばパッチョが歩いて行った後には、青白い小さな炎が、まるでパッチョの足跡のようにフワフワと宙に漂っている。
と、ここまで書けば、きっと関東圏にお住いのかたなら、「ああ!」と思い出していただけたかと思う。
そう、「火ぐまのパッチョ」とは、東京ガスの公式キャラクターとして活躍するくまのことなのだ。
関東圏では「火ぐまのパッチョ」はCMでもお馴染みで、これまでグリル篇、コンロ篇、エネファーム篇など、複数のバージョンが制作されてシリーズ化されて来た(現在は放映されていない)。
CMは「パッチョのゆる~くいこう!」というお決まりのセリフで始まり、パッチョが画面の端から自分の体を芯にして、「くるくるくるくるくる~」と、紙を巻き取って行くことで場面が変わり、本編が始まるという演出になっていた。
そしてパッチョがグリルやコンロなどの東京ガスの製品を紹介して行き、最後は「プリッと解決、東京ガス」と、プリケツポーズを決めて終了するというのが、毎回お決まりのパターンになっている・・・・・・。
きっとパッチョのことをCMでしか見たことのない人は、「ただのCMのキャラクター」としか認識していないと思う。
じつはパッチョに関しては、「パッチョムービー」という、絵本仕立ての動画もネット上に公開されている。
こちらはただの製品紹介に留まらず、ストーリー性があって、けっこうおもしろい内容になっている。
ちなみに第1話では、「なぜ、パッチョが火の国を旅立って、わざわざ遠路はるばる日本にまでやって来たのか」について語られている。
動画を見ると「火の国」は、「火」という漢字の形をした島国で、もくもくと煙が立ち上る、大きな火山が確認出来る。
そして動画では、なぜかたくさんの火ぐまが火山の周りを囲むように行列している。
そして不思議なことにこの火ぐまたち、パッチョと瓜二つで、どれがパッチョなのか全く見分けがつかないのである。
もしかして「火ぐま」とは、クローンの生命体なのではないか・・・・・・。
そして火ぐまたちは巨大な飛び込み台のような設備に順番に登って行く。
あの行列はどうやらこれに登るための順番を待っているものらしい。
そしてこの後、我々は衝撃的な光景を目撃することになる。
火ぐまたちはその飛び込み台のような設備から、なんと火山の火口へ躊躇なく飛び込んで行くのである。
そして、この映像に乗せてナレーションが入り、「あるところに火の国がありました。そこではたくさんの火ぐまたちが、あったか~く暮らしていました」と、のん気に言っているのだが、これでは「あったか~く」どころか、普通なら大火傷、いやそれどころか、火ぐまたちは一瞬で灰となって、跡形もなく消えてしまうことだろう。
火ぐまという生物は不死身なのだろうか・・・・・・。
そして場面は変わり、「ある日のこと、火ぐまの王様は、火ぐまの王子パッチョをお城に呼びました」とナレーションが入る。
「ええっ!パッチョって王子だったの?」とまず驚くことになる。
そしてパッチョはお城の王様の元へ急ぐのだが、「お呼びでしょうか?」と見上げた王様は、パッチョの数十倍はあろうかという巨大さで、背中側からパッチョを見下ろす視点で描かれているそれは、まるでドラクエのラスボスのような存在感なのである。
しかし、パッチョが王子ということは、王様はパッチョの父親のはずだ。
いったいどうしてここまで大きさが違うのだろう。
これでは全く別種の生き物としか思えない。
火ぐまというのはある時期から、急激に成長するとでも言うのだろうか・・・・・・。
そして王様はパッチョに、「人間の世界ではみんななんだかクールになっちゃって、心から火が消えかかっておる。火の力でみんなの心に火を灯して来てくれ」と語り掛ける。
パッチョはもちろん快諾するのかと思いきや、王様に背を向けると、「僕には・・・」とポツリとつぶやく。
そして何を思ったのか、突然股の間から顔をのぞかせ、「無理だと思うよ。むり、むり、むり、むり~」と言いながら、トレードマークのプリケツをプリンプリン振って見せるのだ。
「こいつ王様の逆鱗に触れるぞ!」と思って見ていると、王様はそんなパッチョに慣れているのか、「そんな弱火でどうする!」とユーモアで返して来る。
するとパッチョは正気に戻ったのか、「弱気の間違いでは?」と王様に真顔で聞き返している。
さすが王様、パッチョの操縦法は熟知しているようだ・・・・・・。
そしてここで、「こうしてパッチョは一人前、いや一匹前の火ぐまになるための、修行の旅に出たのでありました」とナレーションが入る。
で、映像ではパッチョが空からフワフワと地上に舞い降りて来るシーンが描かれている。
「その体型で飛べるのかよ!」と思わずつっこまずにはいられないシーンである。
ところでパッチョの飛んで来た後には、小さな青い炎が点々と漂っているのだが、天から舞い降りて来たということは、パッチョってもしかして宇宙人、いや宇宙くまなのだろうか・・・・・・。
そして動画の最後は、「ガスでパッと明るく、チョッといい未来。ちょっと長いので略してガス・パッ・チョ!を実現するために、パッチョの旅はつづく・・・」と締めくくられる。
この動画を見ると、どうやらパッチョは、遠路はるばる日本まで、「修行にやって来た」ということらしい。
しかし、パッチョがCMではしゃいでいる姿や、こちらの生活にすっかり馴染んで、普通に生活している様子を見ると、とても修行をしているようには見えないのだが。
これでいいんでしょうかねぇ、王様・・・・・・。
(画像上、見ごろを迎えたミツマタの花。画像下、池はヒキガエルの卵塊でいっぱいに・・・・・・)
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