カテゴリー「セキセイインコ」の記事

2019年3月17日 (日)

インコ人間現る

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私は子供の頃からセキセイインコが好きだった。
大人になってからも、その熱は冷めることなく、長年セキセイインコが家にいるのが当たり前の生活を送っていた。


だから家にセキセイインコがいなかった時期の方がむしろ短いくらいである。


最盛期には20羽ほどのセキセイインコと一緒に暮らしていたこともあった。
部屋にずらりと並んだ鳥かごはちょっとしたペットショップ並みである。


その頃はセキセイインコが好き過ぎて、しばしば夢にまでセキセイインコが出て来るほどだった。


セキセイインコが出て来る夢は楽しいものがほとんどだったが、唯一なんでこんな夢を見るのか全く理解出来ないホラー系の悪夢があった・・・・・・。


その夢の中ではなぜか私はいつも、両サイドが藪のようになっている、せまい道をトボトボと歩いている。


すると右側の藪の中で、「サクッ、サクッ、サクッ、サクッ!」と、何かを踏みしめるような音が聞こえ始める。


「何かいる!」と気付いた私はすぐに足を止める。


しかし、「何がいるのだろう?」と、じっと目を凝らしても、藪がじゃまをして何も見えない。
そして、先程まで聞こえていた、何かを踏みしめるような音も、全く聞こえなくなっていた・・・・・・。


そこで再び歩き始めるのだが、数秒後にまるで私を追いかけるように、藪の中を何かが歩いてついて来るのだ。


「バリッ、バリッ、バリッ、バリッ!」という、落ち葉や小枝を踏みしめる音と、「カサッ、カサッ、カサッ、カサッ!」という、藪の中を何かが通り抜ける音が、私の少し後ろをついて来るのが分かる。


音の大きさからして、明らかにネコやタヌキなどではない。
もっと大きな動物に違いない。


そう、もっと大きな重量のある動物だ。
私は野生のイノシシに遭遇したことはないが、最低でもイノシシぐらいの大きさはありそうだ。


しかし、藪の中で、「バリッ、バリッ、バリッ、バリッ!」と、落ち葉や小枝を踏みしめながら歩くその音は、もっと大きな動物のようにも感じられる。


とにかくずっしりと重量感を感じさせる音なのだ。
しかし、イノシシよりも大きくて、重量感のある動物なんて、日本にいただろうか・・・・・・。


いた、クマである!
ヒグマは北海道にしかいないから、もしこれがクマだとしたら、恐らくツキノワグマだろう。


ヒグマほど巨大ではないにしろ、ツキノワグマだって十分にでかい。


人が襲われて怪我をしたり、死亡する事故を毎年のようにニュースで聞く。


やばい、藪の中をついて来るこの足音はツキノワグマに違いない・・・・・・。


私は怖くなって、歩く速度を少し早めた。


なぜ、走って逃げないのかと言うと、走って逃げると、クマはそれを追いかけて来る習性があると聞いたことがあるからだ。


ところが私が歩く速度を速めたら、こちらにスピードを合わせるかのように、藪の中のツキノワグマも速度を速め追って来るのが分かった。


しかし、クマは私を追い越すことはなく、私の数歩あとをピタリと追跡して来る。
まずい、これでは後ろが見えない。


クマが藪から飛び出て来て、後ろから襲われたら、「ジ、エンド」である・・・・・・。


私はそう思って、一度立ち止まった。


クマと対峙した時は慌てず騒がず、正面を向いたまま、ゆくりと後ずさりをしながら離れて行くのがセオリーだ。


私が立ち止まるとクマも立ち止まったようで、藪の中から音はしなくなっていた・・・・・・。


クマは私の数歩後ろにいる。
後ろから襲われることを避けるため、私はゆっくりと回れ右をした。


姿は見えないが、恐らくこれでクマと向かい合っているはずだ。


私がじっとしているとクマも動かない。
こちらの様子をうかがっているのだろうか。


私は心の中でクマに、「頼むからこのままどこかへ行ってくれ」と願ったが、クマは藪の中で微動だにしなかった。
1分、2分と沈黙が続く・・・・・・。


しびれを切らして先に動いたのはクマの方だった。
「バリッ、バリッ、バリッ、バリッ!」と数歩こちらに歩を進めたような音が聞こえた。


そして、それと同時に、「カサ、カサ、カサ、カサ!」と、藪の枝葉が少し揺れているのが分かった。


クマは確実に道側に近づいて来ている。


そして、藪が先程よりも大きく揺れたなと思った瞬間、「ガサ、ガサ、ガサ、ガサッ!」という大きな音を立てて、クマが藪の中から、「バッ!!」と飛び出て来たのだ。


私は仰天し思わず、「うわああ~っ!」と悲鳴を上げて、尻もちをついたが、なんと出て来たのはクマではなかった。


それはクマよりももっと恐ろしい得体のしれない生き物だった。
私は一瞬自分の目を疑った・・・・・・。


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最初、それは人かと思った。
姿かたちは人そのものだったが異様に背が高い。


恐らく2m近くあるに違いない。
体型はやせ形で手足が異常に長く感じた。


なぜか彼は素っ裸で、藪から飛び出して来た勢いで、股間の立派な珍棒が、まるで振り子のように右へ左へ揺れていた。
それは2mの巨体に見合う、まるでコケシのように巨大な珍棒だった。


それは正に「珍しい棒」といった感じで、「珍棒」という漢字の意味がこれほどまでにピタリと当てはまるモノを、私はこの日はじめて見た気がする。


私はこんなに切羽詰まった状況の中で、「漢字と言うのは、ちゃんと意味や由来があるのだな~」と感心している自分が怖かった・・・・・・。


彼の体には動物らしい体毛はほとんど見当たらず、体だけを見たら、「のっぽでやせ型の素っ裸の人間」のように見える。
しかし、彼は明らかに人ではなかった。


なぜなら、頭部だけがセキセイインコなのだ。
セキセイインコの覆面を被っているとか、そういうことでは明らかになかった。


彼の首から胸のあたりに注目すると、下の方へ向かうにつれて、頭部から続く羽毛の量がじょじょに減って行き、少しずつ、少しずつ、人の皮膚へと変化して行っているのが分かる。


そして、その過程はじつにリアルで、非常に気持ち悪く感じた。


それはあまりにも自然で生々しく、彼が「そういう生物」であることを証明していた・・・・・・。


その得体のしれない生き物は、尻もちをついていた私に、「ギャー、ギャー、ギャー、ギャー!」と耳をつんざくような、インコ特有の鳴き声を上げながら近づいて来た。


そして、まるで鳥が大きく翼を広げるように、その長い両腕を広げて私に飛びかかって来たのだ。


私は襲われる恐怖というよりも、「こいつはいったい何者なんだ!」という、未知の生物への恐怖で、思わず「うわあああああ~~~!!」と大きな悲鳴を上げていた。


私はその、「うわあああああ~~~!!」という、自分の叫び声で目が覚めた。


気が付くと私は電車の座席に座っていた。


そうだ、私は電車に乗っていたのだ。
どうやら、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。


私は脂汗をびっしょりとかいていた。


突然大きな叫び声を上げた私に、隣に座っていたばあさんが、たいそう驚いた様子で、目ん玉が飛び出しそうな顔をこちらに向けて、「あれ、あれ、あれ、まあ、この人は、大丈夫かね・・・」と、誰よりも心配してくれていた。


私は「頭がセキセイインコで体が人間の、のっぽで素っ裸な男に襲われる夢を見た」などと、事情を説明する勇気はなくて、ただひたすらに、「は、はあ、大丈夫です。本当に大丈夫です・・・」と、ただ、ただ繰り返していたのだった・・・・・・。


(画像上はセキセイインコのクッション、画像下はセキセイインコのペンケース)

2018年11月18日 (日)

「おなら専門」のセキセイインコ

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突然だがセキセイインコというと皆さんはどんなイメージを持っているだろう。


テレビの動物番組やおもしろ映像、びっくり映像などの影響もあって、「おしゃべりをする」というイメージが強いのではないだろうか。


そして、多くのかたは、セキセイインコはちゃんと教えれば、どの個体もおしゃべりが出来るようになると思っているのではないだろうか。


しかし、残念ながら、それは幻想である。
セキセイインコのおしゃべりは、犬にお手やお座りを教えることとは少し違うのだ。


まず、おしゃべりが出来るのは、多くの場合オスで、メスはほとんどものまねはしない。


そして、オスだからと言って、全ての個体がおしゃべりが出来るという訳ではなく、おしゃべりをするようになるかどうかは、その個体におしゃべりの素質があるかどうかに尽きる。


おしゃべりが出来るようになるセキセイインコは、小さなうちから口の中で、「ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ」と、言葉にならないさえずりのようなことを繰り返している。


このように、生まれつき、言葉遊びのようなことが好きな個体が、おしゃべりが出来るようになるようだ・・・・・・。


次にひとくちに「おしゃべり」とは言うものの、個体によってその能力や得意分野に差がある。


テレビでしばしば紹介される、「むかしばなし」を話すセキセイインコのように、長文をペラペラペラペラとしゃべれるようになるものから、「おはよう」とか「こんにちは」などの単語だけを一つ一つ覚えて行くものもいる。


また、人の言葉はしゃべれないが、人の発するくしゃみやせき、いびきやおならなどを覚えてマネをする個体もいる。


そして、そのような個体がやっかいなのは、わざわざ教えなくても、いつの間にか勝手にそれらの音を覚えてしまっている点だ・・・・・・。


例えば「こんにちは」を覚えさせようと思ったら、毎日、毎日、「こんにちは」を根気よく聞かせ続ける。
そうすることでセキセイインコが、耳から入って来た「こんにちは」を、口の中で再現しようとし始める。


そうして、少しずつ「こんにちは」の完成度が高くなって行き、いずれ「こんにちは」とはっきりしゃべれるようになるという訳だ。


ところが、くしゃみやせき、いびきやおならなどを覚えてしまう個体は、それをわざわざ教えなくても、勝手に学習してしまう。


そんな音をあえて教えようとする飼い主はまずいないだろうから「やっかい」なのだ・・・・・・。


以前、うちには「おなら専門」のセキセイインコがいた。
言葉は全く覚えなかったが、家族一人一人のおならを聞き分けて、その特徴を見事に再現してものまねしていた。


もちろん、家族の誰一人として、おならを教えようとした覚えはなく、日常生活の中で何気なく、「ブー」と出たおならを聞いていて、勝手に覚えて行ったようだ。


きっと、彼はおならの音に興味を持ったのだと思う。
興味があるから、自分なりにおならの音を分析して、その違いを再現出来るようになったのだろう・・・・・・。


父のおならはいつも空気が多い印象で、中心は「ブー」なのだが、その周りを空気が包み込んでいて、「ブー」に「スー」がコーティングされたような状態で出る。


これは言葉で表現するのは非常に難しい。


しかし、おなら専門のセキセイインコは、この難しいコーティング具合も完璧に再現していて、すぐに父の放屁のまねをしていると分かった・・・・・・。


母は当時少々太り気味の体形だったので、おならは尻の肉に圧迫されて、かなりの高音で「ブー」ではなく、「プー」と出ることが多かった。


この高音のおならは実際に聞くとかなりゆかいで、出した本人も、聞きたくもないのに聞かされた方も、「プー」と音がした途端、思わず「ぷっ!」と吹き出し大爆笑となる。


そんな高音の「プー」を、おなら専門のセキセイインコに、すまし顔で再現された日にゃ、大爆笑どころの話ではなく、腹がよじれんばかりに「ヒー、ヒー」言いながら、のた打ち回ることになる・・・・・・。


大トリを飾るのは私だが、私の場合、普通におならをすれば、「ブー」か「ビー」だ。
肛門ウーファーを震わす重低音と言ったらいいのだろうか。


おならの音としては家族の中では最も下品な音色と言えよう。


おならに上品な音なんてものがあるのかどうかは疑問だが、もしあるのだとしたら、ぜひその出し方を真剣に学びたいものだ。


そして、上品なおならの出し方をマスター出来れば、もし万が一、ふいにおならが出てしまっても、「あら、あのお方、何て上品なおならをなさるんでしょ」と言われるに違いない。


しかし、残念ながら、「時すでに遅し」で、我が家では「おなら専門のセキセイインコ」に、家族全員のおならを完コピされてしまっているのだ・・・・・・。

 

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そこで問題になって来るのが、うちにお客さんが来たときなのだ。
一時間もいないで帰るようなお客さんならまだいいのだが、2~3時間も居座られたらちょっとまずいことになる。


知らない人が家にやって来て、最初は緊張していたセキセイインコも、一時間もすれば慣れて来てさえずりはじめる。


そして、次第にごきげんになって来て、口の中で「ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ」と、言葉にならない言葉を転がし始めたら、いよいよ覚悟が必要になる。


そう、「ブー」が出るのはもはや時間の問題なのだ。


気心が知れた友人なら、笑って済ますことも出来るが、目上の人やめったに会わない親戚などが、たまたま訪ねて来ていたりすると、非常に焦ることになる・・・・・・。


そしてこの日もそんなめったに合わない親戚がうちに来ていた。


「仕事でこっちに来る用事があったので、ちょっと寄ってみた」と言っていたが、うちになんの用もないのに、そんなくだらない理由でちょっと寄らないでもらいたいものである。


私たちはセキセイインコのニセ放屁を恐れて、意味もなく声の大きさを上げて話をしたり、テレビのボリュームを上げてみたりしていたのだが、どう頑張ってもこれには限度というものがある。


いつ出るかもしれないニセの放屁のために、延々とそれを続けて行く根気はさすがにない。


私たちは顔は相手に合わせて笑っているが、内心はひやひやしながら、ただ、ただ、客が早く帰ってくれることをひたすら祈り続けていた・・・・・・。


私は初めのころ、この状況でセキセイインコが、「いったい誰のおならのマネをするのか」ということばかりを気にしてドキドキしていたのだが、次第にじつはそんなことはたいした問題ではないことに、はたと気付いた。


セキセイインコが誰のおならのマネをしようが、客にとっては、そのニセ放屁が誰のおならの音色かなんて分かるはずがないのだ。


一番問題なのは、「おなら専門のセキセイインコ」がまねるおならの音は「リアルである」ということなのだ。


そして、それを知らなければ、誰もが本物のおならだと思うだろう。


また、一般の人は、セキセイインコがおならのものまねをするなんて、きっとこれっぽっちも思っていないだろうから、「じつは今のおならの音はこのセキセイインコのものまねなんです」と説明したって、すぐには信じてもらえまい。


「何をバカなことを」と鼻で笑われるのがオチである・・・・・・。


と、そんなことばかりを心配していると、緊張で腹にガスが溜まって来て、下腹が妙に重苦しく感じて来た。


依然客の腰は重く、一向に帰る気配はない。


一方のセキセイインコの方はといえば、ノリノリで頭をふりふりしながら、「ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ」とごきげんに何かを言いたげな様子。


これはまずいかなと思った瞬間、ついにその時は来てしまった。


「プーーッ!」
それは母の高音のおならのマネだった。


私は思わず「ぷっ!」と吹き出してしまい、その拍子に緊張で腹に溜まっていたガスが、肛門から「ビーーッ!」と出た。


セキセイインコのおならのものまねをずっと心配していたのに、うかつなことに自分も本物の放屁をしてしまうという失態を犯してしまったのだ。


しかし、「プーーッ!」という高音のおならのものまねが出た瞬間、家族全員大爆笑となっていたので、その大きな笑い声のおかげで、私の「ビーーッ!」はややかき消されていた。


客の前で自らの高音でゆかいなおならを公開されてしまった母は誰よりも大爆笑で、泣きながら大笑いしつつ、なぜか四つん這いになって、ゆっくりと前進するという謎の行動をしていた。


客はポカンとあっけに取られていて、何が起きているのか全く理解できない様子で、ただ、ただ、事の顛末を見守っていたのだった・・・・・・。

 

(画像上はクヌギのどんぐり、画像下はシラカシのどんぐり)

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