ファミコンで通信が実現していたら・・・
家庭用ゲーム機を手に取って、本体を裏返したり、回転させたりして、くまなく観察する人は、そうそういないと思う。
しかし、そのようにしてじっくり観察していると、「あれ、この端子って、いったい何のために付いているんだろう?」という、思わぬ発見があるものだ。
そしてそれは、ある特定の機種だけではなく、歴代家庭用ゲーム機の複数の機種で、確認することが出来るのである・・・・・・。
古いところでは、家庭用ゲーム機の先駆けとなった、ファミリーコンピューターの時代まで遡る。
ちなみにファミリーコンピューターは、1983(昭和58)年7月15日に発売になっている・・・・・・。
そして、その2年7ヶ月後の、1986(昭和61)年2月21日には、周辺機器のファミリーコンピューターディスクシステムが発売になる。
ファミコン本体とディスクシステムは、ファミコンのカートリッジスロットに、「RAMアダプタ」という平たい機器を差し込んで接続していた。
そしてこのことから分かる通り、ファミコン本体には、「周辺機器を接続する端子」は付いていなかったことになる・・・・・・。
じつはファミコンの時代にあった、「何に使用するのか意味の分からない端子」は、ファミコン本体ではなく、周辺機器であるディスクシステムの「RAMアダプタ」に付いていたのだ。
ただ、子供の頃はゲームに夢中で、そんな使いもしない端子に興味を示す者など誰もいなかった。
だからほとんどの人は、その端子には気付いていなかったのではないだろうか・・・・・・。
ちなみに「RAMアダプタ」に付いていた端子は、「RAMアダプタ」を後ろ側から見ると、長方形をした端子として据え付けられていた。
その大きさは、「RAMアダプタ」の横幅の半分ほども占めていて、結構大きな端子であったことが分かる・・・・・・。
で、結局任天堂は、この端子に何を接続するつもりだったのだろうか。
じつは当初任天堂は、この端子に「ディスクファックス」と呼ばれる、通信アダプターを接続するつもりだったようなのだ。
通信アダプターということは、当然ネットワークへ接続することを想定していたということになるだろう・・・・・・。
で、任天堂はネットワークに接続することで、いったい何をしようとしていたのか。
これについては、自宅からファミコンのディスクシステムを使って、ネットワークに接続することで、ファミコンのソフトをダウンロードすることが出来るよう、構想が練られていたというのだ。
そして何よりも驚いてしまうのは、これが1980年代の話であることだ。
ちなみに国内初のパソコン通信は、1984(昭和59)年に開局されているのだが、当時のパソコン通信は、まだ文字だけの世界だった。
ゲームのダウンロードなんて、夢のまた夢の時代である・・・・・・。
さらに任天堂には、任天堂とメッセージのやり取りを行う、現代でいうところの、メール交換の構想もあったようだ。
いうまでもないが、当時はネットワークを利用するメールシステムは、まだまだ一般的ではなかった時代だ・・・・・・。
また、ゲームやコミュニケーション以外にも、学校や塾などのテストを、ネットワークを介して配信し、各家庭のディスクシステムを使って送信、そしてその回答を返信することで、採点や添削をしてもらえる、学習支援の機能なども考えられていたそうだ。
もし、この構想が実現していたら、「ま~た、勉強しないでファミコンばかりやって!」という、昭和の母ちゃんたちを、「ギャフン!」と言わせることが出来たかもしれないと思うと非常に残念でならない・・・・・・。
で、これらの機能は現代であれば、もはや当たり前の話になっているのだが、任天堂は1980年代にすでに現代のネットワークサービスに近いものを思い描いていたことになる。
そして、これが実現していたら、もしかしたら未来が変わっていたのかもしれないが、結局のところ、ディスクシステムの通信アダプター「ディスクファックス」は、ついに最後まで発売されることはなかった。
そして「何に使用するのか分からない端子」は、全く使われることがないまま、その役目を終えたのだった・・・・・・。
(画像上、イチョウは散ってからも黃葉が楽しめる・・・・・・。画像下、顔見知りの近所のネコ。寒くなって来たから、早くお家にお帰りなさいね・・・・・・)
最近のコメント