ビリビリブーム
▲出番は少なくなったものの、いまも売られている9V電池(左)。右は懐かしいナショナルブランドの頃のデザインの単1電池。当時は9V電池も同様のデザインだった・・・・・・。
昭和の頃はビリビリが密かなブームだった。
ビリビリとはいわゆる電気ショックのことで、いま思うとなんでそんなことが流行っていたのか、さっぱり意味が分からない・・・・・・。
そうはいっても、自力で電気を発生させることが出来る人間などいない。
そこで電気を発生させるためのグッズが必要になって来るわけだ・・・・・・。
一番身近なところにある電気を発生させるグッズといえば乾電池だろう。
最近はほとんど見ることもなくなってしまったが、昭和の頃には、角形と呼ばれる四角い乾電池をよく見かけたものだ。
この四角い乾電池は、9V(ボルト)電池とも呼ばれていて、普通の丸い乾電池の6倍もの高い電圧を持っている。
ちなみに普通の丸い乾電池は、1.5V(ボルト)の電圧になる・・・・・・。
角形乾電池は形状の違い意外にも大きな特徴があって、+極と-極の位置が、普通の乾電池とは違っていた。
普通の乾電池の場合、+極と-極は、上下に分かれているが、角形の乾電池の場合は、電池の上部に+極と-極が、2つ並んでいるのだ・・・・・・。
で、昭和の頃、この角形乾電池の電極の部分をペロリと舐めると、舌がビリビリするらしいという噂が、子供たちの間に流れたことがあった。
誰もが「そんな馬鹿な」と思っていたのだが、実はこの噂は本当で、大人の間では乾電池に電気が残っているか確かめるために、電極をペロリと舐めることはよく行われていたのだそう。
ただ、子供がまねをしたら危ないから、子供の前では乾電池を舐めることは控える大人が多かったため、子供たちの間では、あくまでも「うわさ」として認知されていたということらしい・・・・・・。
しかし、そんな気になる噂を聞いたら、本当かどうか、確かめてみたくなるのが子供というものだ。
そうはいっても、普通の乾電池ならともかく、9V(ボルト)という高い電圧を持っている角形乾電池を舐める行為は非常に危険である。
+極と-極を同時に舐めることに加えて、唾液で湿っている敏感な舌に電気が通ることになるわけだ。
もはやビリビリどころの話ではなく、舌を突き抜けるような衝撃と、火傷をしたような痛みがあり、その後も舌が引きつり、ジリジリとした感覚が、しばらくの間、続くことになる。
そしてこれを試してみた子供が思うことは、「こんなこと二度とやるまい」ということである・・・・・・。
▲これは古いタイプの100円ライター。カチンコ(電気ショック)は、この100円ライターを分解して、着火部分を取り出したものだった・・・・・・。
ビリビリブームの頃、ビリビリを発生させるおもちゃ(?)も売られていた。
それは当時10円玉数枚で回すことが出来たガチャガチャの景品で、通称で「カチンコ(電気ショック)」と呼ばれていた・・・・・・。
カチンコはドッキリグッズとして開発されたわけではなくて、100円ライターの着火部分の部品だった。
形状としては、プラスチックで出来たちっちゃな長方形の箱だった。
そして箱の途中から短いコードが伸びていて、コードの先端だけ針金が露出していた・・・・・・。
使い方は単純で、針金部分を肌に当てて、ボタンを「カチッ!」と押すと、「ビリッ!」と激痛が走るというもの。
怖いもの見たさではないが、自分で体験してみたくて、自らの手に押し当てて、やってみる者もいたが、たいていの場合は餌食になるのは、クラスメートの誰かだった。
後ろで手を組んでいる者にそっと近づいて、「カチッ!」とやったり、「いいものをあげるから手を出して」といって、手を前に出させて、「カチッ!」とやったりしていた。
このためカチンコ(電気ショック)は、「友達をなくすグッズ」と呼ばれていた。
それにしても、こんなものが公然と売られていた昭和の頃って、いまでは考えられないような世の中だったんだな~とつくづく思う・・・・・・。
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