「謎フレーズ探偵」まるちゃんたらぎっちょんちょんの(後編)
▲ファミリーマート限定で発売になった、「パイの実みたいなデニッシュ」は、ロッテパイの実とのコラボ商品。パッケージを開けると、なんとアンパンほどの大きさのパイの実が1個入っている・・・・・・。
前回から「まるちゃんたら」で始まるゴム飛び歌の調査を始めた。
今回はその続きということで、まずは情報提供していただいたゴム飛び歌について、ちょっとおさらいをしておこう。
ちなみに以下は、情報提供者はSさん、AさんとCさんはそのお友達である・・・・・・。
(ゴム飛び歌 Sさん)
ま~るちゃんたら、ぎっちょんちょんの
パ~イのパ~イの実
リンゴとバナナのフルーツ
隣国の鐘が鳴ります、くびちょんぱ
(ゴム飛び歌 Aさん)
ま~るちゃんたら、ぎっちょんちょんで
パ~イのパ~イのパ~イの実
リンゴとバナナのフルーツポンチ
隣国の鐘が鳴ります、くびちょんぱ
(ゴム飛び歌 Cさん)
ま~るちゃんたら、ぎっちょんちょんで
パ~イのパ~イのパ~イ
リンゴとバナナのフルーツ
隣国の鐘が鳴ります、ぎっちょんぱ
Bさんはこの歌自体は知っていたが、ゴム飛び歌として歌っていたかどうかは、記憶が定かではないとの回答だった。
ちなみに歌詞についてはSさんのものとほぼいっしょだった。
前回の調査では、このゴム飛び歌のメロディは、過去に放映されていた、「ロッテパイの実」のCM曲と同じものであることが分かった。
ところがこのメロディは、「フジパンスナックサンド」のCMにも使われていたことから、「もしかしたら、元歌があるのではないか?」という疑問を残しつつ、前回の調査は終了した・・・・・・。
で、その後、いろいろな人に事あるごとに、このCM曲の元歌を知らないか、聞きまくっていたところ、ある人から有力な情報を教えてもらうことが出来た。
Mさんは私より一回り以上年齢が上の人で、「くろねこくん(私のこと)の世代は知らないだろうけど、これは確か森山加代子だと思うよ」とのことだった。
Mさんの話によると、昔、森山加代子さんという歌手がいて、「呪文のような意味がよく分からない歌詞の歌ばかりを歌っていた」のだそうだ。
そして当時は、その呪文のような歌詞が子供たちに大うけで大人気だったのだという。
そしてその森山加代子さんが歌う、「パイのパイのパイ(1961年5月リリース)」がこちら(↓)。
お山で育った山ざるが
東京の空にあこがれて
出て来たまではよいけれど
電車に自動車、オートバイ
ラッシュアワーの人の波
これじゃ本当に目が廻る
ラメチャンタラ、ギッチョンチョンデ
パイノパイノパイ
パリコトバナナデ
フライ、フライ、フライ
歌のタイトルや歌詞からして、「ロッテパイの実」のCM曲の元歌は、どうやらこれで間違いなさそうだ。
ところがMさん曰く、「ロッテパイの実」のCM曲の元歌はこれかも知れないが、この「パイのパイのパイ」には、更なる元歌があるというのだ・・・・・・。
▲ロッテパイの実の新商品、「パイの実深みショコラ」は、CMに女優の森七菜さんが起用された。もしやあの曲がリメイクされて使われるのではと思ったのだが、残念ながらそれはなかった・・・・・・。
大元は1918(大正8)年に発表された「東京節」で、東京の名所や当時の暮らしぶり、政治に対する風刺などをユーモラスに歌った、コミックソングだったという。
ただ、「あんまり古すぎて、俺も詳しくは知らない」そうなのだ。
そこで、その情報を元に調べてみると、「東京節」は前半の歌詞こそ違うものの、歌のサビの部分、「ラメチャンタラ、ギッチョンチョンデ・・・」の部分は、森山加代子さんの「パイのパイのパイ」と全くいっしょだった・・・・・・。
さて、「ロッテパイの実」と、「フジパンスナックサンド」の元歌が分かったところで、肝心のゴム飛び歌の方に話を戻そう。
ゴム飛び歌の冒頭は、「ま~るちゃんたら、ぎっちょんちょんの(で)・・・」だった。
しかし、このゴム飛び歌の元歌と思われるロッテパイの実のCMでは、この部分を「う~まさったら、ぎっちょんちょんで・・・」と歌っている。
また、元歌の元歌と思われる「パイのパイのパイ」では、「ラメチャンタラギッチョンチョンデ・・・」と歌っていて、どこにも「まるちゃん」なんて言葉は出て来ないのだ。
「まるちゃん」というと、今の時代なら「ちびまる子ちゃん」なのだろうが、当時はまだ作者のさくらももこさんだって子供だった時代である。
となると、インスタント麺で有名な東洋水産の「マルちゃん」の方かもしれない。
どちらにしても、どうやら「まるちゃん」の部分は、当時の子供たちが創作した歌詞ということになりそうだ。
ちなみに「パイのパイのパイ」や、「東京節」に出て来る「ラメチャン」は人名ではなく、でたらめの「らめ」なのだそう。
歌詞がでたらめみたいで意味不明ということだろうか。
また、「ギッチョンチョン」については、はやし言葉によく使われるフレーズとのことで、「あ~、こりゃこりゃ」みたいなものと考えればよさそうである・・・・・・。
ゴム飛び歌に戻って、「パ~イのパ~イの実(Sさん)」、「パ~イのパ~イのパ~イの実(Aさん)」、「パ~イのパ~イのパ~イ(Cさん)」の部分は、もはや言うまでもなく、ロッテパイの実のCMから来ていると言っていいだろう。
CMでは「パ~イのパ~イの実~」と歌っていることから、正解(?)はSさんということになるだろう・・・・・・。
続いて、「リンゴとバナナのフルーツ(Sさん、Cさん)」、「リンゴとバナナのフルーツポンチ(Aさん)」の部分だが、これについては元歌にも、元歌の元歌にも、そんなフレーズはない。
「東京節」と「パイのパイのパイ」の歌詞に、「パリコトバナナデ」という謎のフレーズがあり、唯一、「バナナ」だけは出て来るものの、「リンゴ」と「フルーツ(ポンチ)」はどこにも見当たらないのだ。
もしかしたら、これはまた別のCMの影響なのかもしれない・・・・・・。
そしてゴム飛び歌の最後の部分、「隣国の鐘が鳴ります、くびちょんぱ(Sさん、Aさん)」と、「隣国の鐘が鳴ります、ぎっちょんぱ(Cさん)」について。
これについては、以前調査した「きんしかがやくにっぽんの」で始まるゴム飛び歌のフレーズ、「教会の鐘が鳴ります、キンコンカン」の影響を受けているものと思われる(ちなみにこれの元歌は「とんがり帽子」だった)。
「教会」がなぜか「隣国」に変化し、「キンコンカン」がどういう訳か、「くびちょんぱ(ぎっちょんぱ)」に変化している。
それにしても、隣国の鐘が鳴るのは、まぁいいとして、「くびちょんぱ(ぎっちょんぱ)」って、ゴム飛び歌にしては、あまりにもホラー過ぎるし、何よりも意味がさっぱり分からない。
このように子供の発想というのは、いつの時代も斬新なのである・・・・・・。
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