「謎フレーズ探偵」ハゲの数え歌 ③
前回までの調査で、「ハゲの数え歌」にはどうやら2つの系統があることが分かった。
で、今回はいよいよ、「ハゲの数え歌」の元歌を探って行こうという訳なのだが、その前に「ハゲの数え歌」の2つの系統について、ちょっとおさらいをしておこうと思う。
「ハゲの数え歌 ①」
ひとつふたつはいいけれど
みっつ、三日月ハゲがある
よっつ、横ちょにハゲがある
いつつ、いつでもハゲがある
むっつ、向こうにハゲがある
ななつ、ななめにハゲがある
やっつ、やっぱりハゲがある
ここのつ、ここにもハゲがある
とうで、とうとうつるっぱげ
「ハゲの数え歌 ②」
ひとつ、人よりハゲがある
ふたつ、不思議なハゲがある
みっつ、三日月ハゲがある
よっつ、横にもハゲがある
いつつ、いつでもハゲがある
むっつ、向こうにハゲがある
ななつ、ななめにハゲがある
やっつ、やっぱりハゲがある
ここのつ、ここにもハゲがある
とうで、とうとうつるっぱげ
ここでは、「ハゲの数え歌」の2つの系統の、最もオーソドックスと思われる歌詞のものを、それぞれ1つずつご紹介した。
「ハゲの数え歌 ①」と「ハゲの数え歌 ②」の違いは、①では冒頭の歌詞が、「ひとつふたつはいいけれど」と歌われているのに対して、②では「ひとつ」と「ふたつ」にも、それぞれ歌詞が割り当てられているところである。
とはいうものの、このオーソドックスなものに関しては、歌詞は見ての通り、どちらもほとんどいっしょで、普通に考えたらこれはどちらも1つの元歌から派生して行ったと考えるのが自然なのではないだろうか。
ところが調べてみると、どうもそんな単純な話ではないようなのだ。
そんな訳で、まずは「ハゲの数え歌 ①」の元歌について探って行きたいと思う・・・・・・。
じつは今回、「ハゲの数え歌 ①」について、色々な人に聞き込みをしていた時、元歌についても知らないものかと、必ずセットで質問をさせてもらっていたのだが、それらしいことを知っていたのは、期待に反して、たった2人だけだった。
で、元歌の詳細まで知っていたのは、このうちの1人だけで、その1人というのが、「レインボーマンの替え歌」の調査の時に、情報提供をして下さったAさんだったのだ・・・・・・。
Aさんはあっさり、「(ハゲの数え歌①の)出所はドリフだよ」と教えてくれた。
Aさんの話によるとハゲの数え歌は、「8時だョ!全員集合!」の「少年少女合唱隊」というコーナーで、ネタとして披露された歌だったらしい。
「ハゲの数え歌」が小学校で流行っていたことは、なんとなくだが覚えている。
そして、「8時だョ!全員集合!」も当時は毎週かかさず見ていた。
しかし番組の中で、「ハゲの数え歌」が歌われていたのは、私はちょっと記憶にない。
そこでそのことをAさんに伝えると、「ハゲの数え歌はドリフに荒井注がいた頃のネタだから、くろねこくん(私のこと)は知らない世代なんだろう」とのことだった。
確かに私は荒井注さんが、ドリフターズの元メンバーだったということは、大人になるまで知らなかった。
更にAさんは、「ハゲの数え歌は、荒井注がいなければ、決して成立しないネタだったんだよ」とも言う。
じつは当時、荒井注さんはハゲキャラとしてコントでネタにされることが多かったそうなのだ・・・・・・。
そして驚いてしまうのは、この「ハゲの数え歌」を番組で初披露したのは、なんとドリフのメンバーではなかったというのだ。
Aさんが言うには、「ハゲの数え歌を番組で最初に歌ったのは、ゲストの由紀さおりだった」のだそうだ。
そういえば、「8時だョ!全員集合!」には、よく歌手がゲストに来ていて、コントに参加していたのを覚えている。
Aさんは「歌詞のバカバカしさだけではなくて、由紀さおりが歌っていたという意外性が、当時の子供たちにウケたのだと思う」と言う。
で、この情報を元に調べてみると、当時番組の中で、由紀さおりさんが歌ったという元歌が判明したのでご紹介しておく。
それがこちら(↓)。
「ハゲの数え歌 ①(元歌)」
ひとつふたつはいいけれど
みっつ、醜いハゲがある
よっつ、横にもハゲがある
いつつ、いつでもハゲがある
むっつ、向こうにハゲがある
ななつ、ななめにハゲがある
やっつ、やっぱりハゲがある
ここのつ、ここにもハゲがある
とうで、とうとうつるっぱげ
細かく見て行くと、情報を提供してくれた皆さんが覚えていた歌詞とは、微妙に違っていることが分かる。
当時はまだ、ビデオデッキもまともに普及していなかった時代だ。
やはり放送を見ただけではうろ覚えだったのだろう。
そしてそれが更に、人から人へ伝わる際に、少しずつ歌詞が変化して行ったのだろう。
ちなみに荒井注さんがドリフターズに在籍していたのは、1974(昭和49)年の3月までだったそうだ・・・・・・。
さて、ここからは、「ハゲの数え歌 ②」へ移ろう。
じつはこれについても、Aさんが詳細を知っていた。
もはやAさんに記事を書いてもらった方が早いのではないか。
まず、最大の疑問である、「ハゲの数え歌①と②の出所は、はたしていっしょなのか?」についてだ。
これについてAさんは、「出所と言う意味では違うと思う」とのことだった。
「ハゲの数え歌 ②」の元歌を探る上でヒントとなるのが冒頭のフレーズ、「ひとつ人よりハゲがある」の部分。
これは1970(昭和45)年10月から、2年間に渡ってテレビ放映された人気アニメ、「いなっかっぺ大将」の主題歌の冒頭のフレーズに大変よく似ている。
私は「いなかっぺ大将」の本放送当時は、まだ生まれていなかったので知らないのだが、その後の再放送については、何回も繰り返し放送されていたこともあって、この主題歌についてはよく知っている。
ちなみに主題歌の方は、「ひとつ人より力持ち」と歌われている。
そしてこの「いなかっぺ大将」の主題歌のタイトルは、「大ちゃん数え唄」なのである。
もはやこれは疑いようもないだろう・・・・・・。
そしてここで2つ目の疑問。
なぜ、この2つの「ハゲの数え歌」は、歌詞がかぶっているのか。
これについては、同じハゲを題材にした数え歌ということで、どちらかが歌詞をそのまま借用させてもらった、言い方を変えるなら、強く影響を受けたと考えるのが、自然なのではないだろうか。
そこで調べてみると、2つのハゲの数え歌は、ほぼ同時期に小学生の間で流行っていたことが分かった。
だから、「どちらが先か?」ということについては、正直よく分からなかった。
ただ、「ハゲの数え歌 ②」については、誰が最初に歌ったという記録は残っていなくて、自然発生的に子供たちの間で歌われ始めていることから、個人的には「ハゲの数え歌」としては、①が元ネタだったのではないかと思っている。
当時の子供たちにとって、ドリフの影響力はやはり絶大だったのだ。
ということで、この2つの「ハゲの数え歌」は、それぞれ出所は違っていたものの、どうやら兄弟のような関係だったということだけは確かなようである・・・・・・。
(画像上、秋の野の花の代名詞ノコンギク。画像下、桜は秋早くから紅葉が始まる・・・・・・)






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