学研の科学と学習 ②
学研の科学の付録で多くの人が印象に残っているのは、各種プランクトンの卵と飼育キットではないだろうか。
1970~1980年代はプランクトンの卵の飼育ブームで、学研の科学の付録のみならず、ガチャガチャのおまけや通信販売、金魚や熱帯魚を売るお店など、あちこちでプランクトンの飼育キットを目にすることが出来た。
ちなみに日本で初めてプランクトンの飼育キットを販売したのは、玩具メーカーのテンヨーだったそうで、販売開始は1971(昭和46)年のことだったという。
個人的にはテンヨーというと、マジックグッツメーカーの印象が強いのだが、どうやらこのような商品も取り扱っていたらしい。
当時テンヨーが販売していたプランクトンの飼育キットは、「シーモンキー」の商品名で売られていたようだ。
ところが、当時のパッケージを見ると、どういう訳かプランクトンではなく、素っ裸の人間とも宇宙人ともつかない謎の生物が描かれている。
そしてその生物の頭からは3本の触角のようなものが生えており、尻からは地面に届くほどの長い尻尾が生えている。
しかもこの生物、中途半端に腹が出ていて、まるで裸になった変態のおやじが、奇妙な仮装をしているような印象だった。
パッケージのイラストでは、そんなおかしな生き物が、水槽の中を泳ぎ回ったり、こちらに向かって手を振ったりしているのである。
これがシーモンキーだというのだろうか。
また、そのイラストの横には、「あなたのペット、育てるのはあなた!」などと書かれているのだが、本当にこんな奇怪な生物が生まれて来るのなら、私だったら間違っても育ててみたいとは思わない。
興味を持って、商品を手に取ったとしても、パッケージイラストを見るなり、迷わず商品を商品棚にサッと戻すだろう。
当時の子供たちはなぜこれを買って育ててみようなんて思ったのだろう。
私にはそのことがまず不思議でならない。
ちなみにシーモンキーというのは、ちっちゃなエビのような姿をしたプランクトンで、小型の甲殻類の一種のアルテミアを改良した品種だと言われている。
シーモンキーの名誉のために言っておくが、シーモンキーは間違ってもパッケージに描かれている、素っ裸の変態おやじのような姿ではない・・・・・・。
で、学研の科学の付録の飼育キットだが、こちらは年代によって、プランクトンの種類や名前が違っていたようだが、私の頃はシーモンキーではなく、「ブラインシュリンプ」という名前だったと記憶している。
そしてその「ブラインシュリンプの飼育キット」には、「飼育容器(プラスチックの小さな水槽)」、「ブラインシュリンプの卵」、「培養液を作るための粉(水道の水をブラインシュリンプが棲める環境にするもの)」、「ブラインシュリンプのエサ」、「飼育マニュアル」で構成されていた。
このように書くと、「雑誌の付録なのに、当時は色々なものが付いて来ていたのだな~」と思うかもしれないが、実際はかさばるものは飼育容器だけで、他のものは全て粉状のものだったので、ちっちゃな小袋に入っていたのだ。
驚いたのはブラインシュリンプの卵とされるものも、封を開けてみると、ただの白い粉が入っているだけで、どこにも卵らしき形のものは見当たらなかった。
見た感じはただの粉薬のような感じである。
じつはブラインシュリンプの卵は、乾燥に極めて強い耐性を持っていて、カサカサに乾燥した状態でも、長期間休眠することが出来るのだという。
まるで粉薬のような状態の卵を見た時は、「えっ、これが本当に孵るの~?」と疑ってかかっていたが、10日もすると1センチあるかないかという生物が、水槽の中をうじゃうじゃ泳ぎ回り始め、「すげぇ~!」と興奮したことを、今でもはっきりと覚えている・・・・・・。
ところで学研の科学の付録になったプランクトンの卵は、ブラインシュリンプだけではなかった。
日本の田んぼにも発生するカブトエビの飼育キットも付いて来たことがあった。
カブトエビというのは、日本の田んぼにも発生する淡水生の小型甲殻類で、背甲目カブトエビ科に分類されている。
見た目はあの有名なカブトガニに似ているが、大きさは比べ物にならないくらい小さくて、体長2センチほどの生物である。
カブトエビの特徴はなんといっても背甲で、頭部、胸部、歩脚を、まるで亀の甲羅のようにすっぽりと覆っている。
これについては、有名なカブトガニを想像してもらえれば分かりやすいと思う。
カブトエビはこの背甲があるおかげで、ブラインシュリンプよりもずっと観察しやすい生物になっている。
ところでこのカブトエビ、カブトガニと姿が似ているが、じつは全然違う生き物で、カブトエビは文字通り甲殻類(カニやエビの仲間)だが、カブトガニはなんとクモに近い生き物なのだそうだ・・・・・・。
で、このカブトエビ、日本では昔から田んぼの生き物として知られていて、初夏の頃に田んぼの水の中に大発生する。
昔からカブトエビは、「田んぼの草取り虫」とも呼ばれている(虫ではないのだが・・・・・・)。
これにはカブトエビが稲の生長を妨げる雑草を食べてくれるので、稲がよく育つという意味が込められているのだそうだ。
また、カブトエビは泥を掘る習性があるため、田んぼの泥が水に混ざって行き、田んぼの水を濁らせることになる。
そして水が濁ることで、太陽の光が水の中まで届きにくくなり、田んぼの中で育つ雑草は、十分に光合成が出来なくなり、自然に衰退して行くことになるのだ。
このように稲の成長のためには、カブトエビはいてくれた方が好都合な生き物なのだ・・・・・・。
で、このカブトエビ、一年のほとんどの期間を卵の状態で過ごしている。
カブトエビは水温が12℃から25℃で適温と言われており、ちょうど田んぼに水が入れられた頃になると、目覚めて活動を開始する。
カブトエビの卵はなんと二重構造になっているそうで、外側の殻が特に硬くなっていて、乾燥や寒さに耐えられるように出来ているのだそう。
また、カブトエビの卵は、「耐久卵」とか「乾燥卵」とも呼ばれていて、10年間も経過した卵から孵化した例もあるのだとか。
この性質があるからこそ、学研の科学の付録にすることが出来たのだろう・・・・・・。
カブトエビは2億年も前から現代にいたるまで、ほとんど姿を変えていない生き物だという。
そしてカブトエビの顔を正面からよく観察してみると、なんだか宇宙人グレイの顔にとてもよく似ている。
もしかしたらカブトエビって、宇宙からやって来た、ものすごい能力を秘めた生命体なんじゃないだろうか・・・・・・。
(画像上、ゴールデンウィークの頃から咲き始めるミズキの花。画像下、林床で咲き誇るヤマツツジの花・・・・・・)




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