「謎フレーズ探偵」おまえのかあちゃんでべそ ③
「ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」
今回はこのはやし歌の後半部分、「おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」について解析を進めて行こうと思っている。
まず、素朴な疑問として、この歌は相手を罵る「はやし歌」なのに、なぜ本人ではなく、「おまえのかあちゃん」を持ち出す必要があったのだろう。
そしてなぜ、赤の他人である「こいつ」が、うちのかあちゃんが「でべそ」であることを知っているのか。
じつはこの疑問こそが、このはやし歌の全てと言っても過言ではないのだ・・・・・・。
そしてまず、この「おまえのかあちゃんでべそ」というフレーズを読み解いていくためには、日本の歴史を鎌倉時代まで遡らなくてはならない。
鎌倉幕府が定めた法令集、「御成敗式目」には、「悪口は親不孝と同じく重罪とする」という一文があり、悪口の判例が記されている。
そしてその中に、「母開に及びて放言」という項目がある。
「母開」とは聞きなれない言葉で、いったいなんのことだろうか。
そこでちょっと調べてみると、母開の「開」は「つび」と読むこともでき、「開(つび)」とはどうも女性器のことを指しているようなのだ。
つまり「母開に及びて放言」とは、「女性器の欠陥や奇形についての悪口」ということになるようだ。
で、そのことが、「おまえのかあちゃんでべそ」のフレーズになんの関係があるのか・・・・・・。
じつは「おまえのかあちゃんでべそ」の「でべそ」というフレーズは、もともとは「出っ張ったへそ」という、文字通りの意味ではなく、比喩表現だったようなのである。
では、「でべそ」が何を例えていたのかと言えば、もはや説明するまでもないかもしれないが、前述の「女性器」のことに他ならない。
「おまえのかあちゃんでべそ ①」では、このはやし歌の各種バリエーションをご紹介したのだが、この中で「でべそ」というワードには、「大でべそ」、「赤でべそ」、「黒でべそ」という変化が見られた。
「でべそ」を文字通りの「でべそ」と考えると、これらは意味不明のフレーズでしかない。
しかしこれを、本来の意味の女性器に置き換えて考えてみれば、なんとなく言っていることが分かるのではないだろうか。
では、そもそもどうして女性器が「へそ」になったのだろうか・・・・・・。
鎌倉幕府が定めた法令集、「御成敗式目」には、「おやまき」という悪口も言ってはいけないという一文がある。
人に「おやまき」と言えば、相手もまた「おやまき」と言い返す。
また、「親殺し」と言った場合も同様に返されるから、悪口は自分の父母を罵倒するのと同じになるというのだ。
では、「おやまき」とはなんなのか。
「おやまき」は「親殺し」と言った場合と同様だというので、「親まき」であることは間違いない。
しかし、「おや」を漢字にしただけでは、意味が分からないことに変わりはない。
では、「まく」とはいったいどういう意味なのか。
そこでちょっと調べてみると、「まく」は「枕く」と書くようだ。
そして、「枕く」の「枕」という字は、「まくら」と読むことが出来る。
したがって「枕く」とは、「(性的な意味で)いっしょに寝る」ことを意味している。
「枕」という字の語源には、「(布や衣類を)捲り込む」という意味もあり、「相手を抱き込む」という内容も含んでいる。
もはや説明するまでもないだろうが、これは近親相姦そのものを指している。
同様の意味で、「ははまき(母枕き)」という言葉も使われていて、これは正に英語で言うところの「Mother f〇〇er」や「〇〇ck your mother」に相当する。
だからこそ「御成敗式目」では、「悪口は親不孝と同じで言ってはいけない」と言っているのだ。
このように相手の母親を持ち出して罵ることは、昔からよくあったことだったのだ。
しかもこれは日本だけではなく、洋の東西を問わず見られることだったのである。
で、話を少し戻して、女性器がなぜ「でべそ」に置き換えられたのかについてだ。
「母開」には女性器の意味があった。
しかし、ご説明して来たように、「母開」という言葉には、「行為そのもの」を指す意味も含まれていたと考えられる。
時代が進み、いくら悪口とはいえ、さすがにそのままではまずいということになり、「でべそ」という比喩表現に置き換えられたのではないだろうか。
ただそこには、元々の悪口のニュアンスもしっかりと隠されている。
なぜなら「へそ」というのは赤ん坊の頃、母親と「つながっていた」場所だからだ。
「ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」
この歌が流行っていた当時は、子供が歌うただのはやし歌だと思っている人が大半だったと思う。
ところがこの短い歌詞の中には、日本の悪口の歴史がギュッと詰め込まれていたのである・・・・・・。
(画像上、猛暑の誰もいない公園で鳴くアブラゼミ。画像下、抜け殻の隣でたたずむニイニイゼミ・・・・・・)






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