カテゴリー「おまえのかあちゃんでべそ」の記事

2022年8月15日 (月)

「謎フレーズ探偵」おまえのかあちゃんでべそ ③

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「ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」


今回はこのはやし歌の後半部分、「おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」について解析を進めて行こうと思っている。


まず、素朴な疑問として、この歌は相手を罵る「はやし歌」なのに、なぜ本人ではなく、「おまえのかあちゃん」を持ち出す必要があったのだろう。


そしてなぜ、赤の他人である「こいつ」が、うちのかあちゃんが「でべそ」であることを知っているのか。


じつはこの疑問こそが、このはやし歌の全てと言っても過言ではないのだ・・・・・・。


そしてまず、この「おまえのかあちゃんでべそ」というフレーズを読み解いていくためには、日本の歴史を鎌倉時代まで遡らなくてはならない。


鎌倉幕府が定めた法令集、「御成敗式目」には、「悪口は親不孝と同じく重罪とする」という一文があり、悪口の判例が記されている。


そしてその中に、「母開に及びて放言」という項目がある。


「母開」とは聞きなれない言葉で、いったいなんのことだろうか。


そこでちょっと調べてみると、母開の「開」は「つび」と読むこともでき、「開(つび)」とはどうも女性器のことを指しているようなのだ。


つまり「母開に及びて放言」とは、「女性器の欠陥や奇形についての悪口」ということになるようだ。


で、そのことが、「おまえのかあちゃんでべそ」のフレーズになんの関係があるのか・・・・・・。


じつは「おまえのかあちゃんでべそ」の「でべそ」というフレーズは、もともとは「出っ張ったへそ」という、文字通りの意味ではなく、比喩表現だったようなのである。


では、「でべそ」が何を例えていたのかと言えば、もはや説明するまでもないかもしれないが、前述の「女性器」のことに他ならない。


「おまえのかあちゃんでべそ ①」では、このはやし歌の各種バリエーションをご紹介したのだが、この中で「でべそ」というワードには、「大でべそ」、「赤でべそ」、「黒でべそ」という変化が見られた。


「でべそ」を文字通りの「でべそ」と考えると、これらは意味不明のフレーズでしかない。


しかしこれを、本来の意味の女性器に置き換えて考えてみれば、なんとなく言っていることが分かるのではないだろうか。


では、そもそもどうして女性器が「へそ」になったのだろうか・・・・・・。


鎌倉幕府が定めた法令集、「御成敗式目」には、「おやまき」という悪口も言ってはいけないという一文がある。


人に「おやまき」と言えば、相手もまた「おやまき」と言い返す。


また、「親殺し」と言った場合も同様に返されるから、悪口は自分の父母を罵倒するのと同じになるというのだ。


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では、「おやまき」とはなんなのか。


「おやまき」は「親殺し」と言った場合と同様だというので、「親まき」であることは間違いない。


しかし、「おや」を漢字にしただけでは、意味が分からないことに変わりはない。


では、「まく」とはいったいどういう意味なのか。


そこでちょっと調べてみると、「まく」は「枕く」と書くようだ。
そして、「枕く」の「枕」という字は、「まくら」と読むことが出来る。


したがって「枕く」とは、「(性的な意味で)いっしょに寝る」ことを意味している。


「枕」という字の語源には、「(布や衣類を)捲り込む」という意味もあり、「相手を抱き込む」という内容も含んでいる。


もはや説明するまでもないだろうが、これは近親相姦そのものを指している。


同様の意味で、「ははまき(母枕き)」という言葉も使われていて、これは正に英語で言うところの「Mother f〇〇er」や「〇〇ck your mother」に相当する。


だからこそ「御成敗式目」では、「悪口は親不孝と同じで言ってはいけない」と言っているのだ。


このように相手の母親を持ち出して罵ることは、昔からよくあったことだったのだ。


しかもこれは日本だけではなく、洋の東西を問わず見られることだったのである。


で、話を少し戻して、女性器がなぜ「でべそ」に置き換えられたのかについてだ。


「母開」には女性器の意味があった。


しかし、ご説明して来たように、「母開」という言葉には、「行為そのもの」を指す意味も含まれていたと考えられる。


時代が進み、いくら悪口とはいえ、さすがにそのままではまずいということになり、「でべそ」という比喩表現に置き換えられたのではないだろうか。


ただそこには、元々の悪口のニュアンスもしっかりと隠されている。
なぜなら「へそ」というのは赤ん坊の頃、母親と「つながっていた」場所だからだ。


「ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」


この歌が流行っていた当時は、子供が歌うただのはやし歌だと思っている人が大半だったと思う。


ところがこの短い歌詞の中には、日本の悪口の歴史がギュッと詰め込まれていたのである・・・・・・。


(画像上、猛暑の誰もいない公園で鳴くアブラゼミ。画像下、抜け殻の隣でたたずむニイニイゼミ・・・・・・)

2022年8月 9日 (火)

「謎フレーズ探偵」おまえのかあちゃんでべそ ②

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「ば~か、か~ば、チンドン屋、おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」


前回はこの歌の各種バリエーションについてご紹介して来たのだが、今回からはいよいよ歌詞の解析を始めて行こうと思っている。


で、まずはこの歌の前半部分、「ば~か、か~ば、チンドン屋」について考えてみよう。


まず、「ば~か」の部分に関しては、言うまでもなく「馬鹿」、「か~ば」の部分に関しては、ただ単に、「ば~か」を反転させただけであろうことは容易に想像がつく。


そして、なぜそんなことをする必要があるのかといえば、特別深い意味はなくて、「リズムよく歌うため」といった理由だろうか。


で、問題なのは、「チンドン屋」だろう。


一定の年齢以上の人なら、「チンドン屋」と言えば、バカ殿様のような出で立ちの一団が、「ドンドン、チンチン!」と楽器を打ち鳴らしながら、愉快に道を通り過ぎて行く、あの映像がフッと頭に浮かぶのだろう。


しかし、チンドン屋が全盛だったのは、昭和20~30年代のことで、じつはかく言う私も、本物のチンドン屋は一度も見たことがないと思う。


私が学生時代を過ごした昭和50~60年代には、もうチンドン屋は姿を消してしまっていたのだ。


で、今となっては、「チンドン屋」という言葉すら知らない世代が増えて来ている。


先ほどチンドン屋のイメージは、バカ殿様のようなイメージだと書いた。


これがどういうことか、もう少し詳しく説明するなら、「チンドン屋」と呼ばれていた人たちは、顔は白塗りの化粧で真っ白にしていて、男性はちょんまげ、女性は日本髪を結っていた。


そして服装はど派手な着物姿で、「ドンドン、チンチン!」と楽器を打ち鳴らしながら、道を練り歩いて行くのだ。


では、なんのためにそんなことをしているのか。


ひとことで言うなら、それは街頭宣伝活動だったと言えるだろう。


テレビやインターネットが普及していなかった時代、企業やイベントの主催者は、地域に情報を拡散するために、チンドン屋を利用していたのだ。


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分かりやすくいうなら「チンドン屋」とは、動く広告、今でいうテレビコマーシャルだったのだ。


そしてCMとして人々に注目してもらうためには目立たなくてはいけない。


このためチンドン屋は奇抜な格好をして、楽器を打ち鳴らしながら、にぎやかに街を練り歩いていたのだ。


そしていつの時代も子供たちは、そういう愉快なものやおかしなものが大好きで、チンドン屋がやって来ると、遊ぶのを中断して、チンドン屋の後をぞろぞろと付いて歩いて行ったりしていたそうだ。


志村けんさんが演じていた「バカ殿様」は、私が子供の頃に誕生したキャラクターだ。


その人気は時代が進んでも、少しも陰りを見せず、数十年間ずっと放送され続けていたことが、そのことを証明してくれていると言っても過言ではないだろう。


「ば~か、か~ば、チンドン屋」の「チンドン屋」には、「チンドン屋みたいなおかしなやつ」という意味が込められていたのだ。


そんな子供たちに人気だったチンドン屋は、昭和40年代に入ると急速に数を減らして行くことになる。
その一番の要因となったのがテレビの普及だった。


ちんどんやは芸人のような格好をしていたが、その目的は人を笑わせることではなく、前述のように街頭宣伝活動だった。


目立つ格好をして、楽器を打ち鳴らしながら、企業やイベントの宣伝をして歩く。


しかし、テレビが普及したことにより、企業は街頭宣伝よりも効率がいい、テレビCMへシフトして行くことになる。


ちんどんやの需要はテレビの普及で激減したのだ。


また、この頃から都市では住宅が密集するようになって行き、「騒音公害」という言葉が生まれた。


楽器を「ドンドン、チンチン!」と打ち鳴らしながら、大声で街頭宣伝を繰り返すチンドン屋は、時代にそぐわない存在となって行ったのだ。


「ば~か、か~ば、チンドン屋」などというと、なんだかちんどんやが「ばか」と同等の意味にとられそうだが、お話して来ように子供たちはチンドン屋が大好きだった。


だから「ば~か、か~ば、チンドン屋」の「チンドン屋」というワードには、悪口をそのたった一言でユーモアに変えてしまう、不思議なパワーが秘められていた。


「ば~か、か~ば、チンドン屋」のフレーズを、普通のしゃべり言葉に変換するなら、「おまえって本当にバカでカバでチンドン屋みたいな、おかしなやつだなぁ」といったところだろうか。


で、次回は歌詞の後半部分、「おまえのかあちゃん、で~べ~そ!」について、解析を進めて行こうと思っている・・・・・・。


(画像上、ヒマワリの花を見ると子供の頃の夏休みを思い出す。画像下、アブラゼミが最盛期を迎えている・・・・・・)


2022年8月 3日 (水)

「謎フレーズ探偵」おまえのかあちゃんでべそ ①

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▲樹液を吸いに雑木林にやって来たアカボシゴマダラ。

「ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、で~べ~そ ♪」


今はもうこんな囃子歌を歌う子供はいないのだろうが、私が小学生だった頃には日常的に歌われている歌だった。


それにしても、今こうして文字に起こしてみると、なんともすごい歌詞である。


という訳で、今回の謎フレーズ探偵は、この「おまえのかあちゃんでべその歌」について調査を進めて行こうと思っている。


とはいうものの、「おまえのかあちゃんでべそ」は、いわゆる悪口で他人を囃し立てるためだけの歌である。


このため歌詞は非常に短くて、とても元歌があるようには思えない。


ところがこの歌、元歌は見当たらないのだが、じつはとても奥が深い歌で、調査を進めて行くと、歌詞の向こう側に日本の歴史が見えて来るのだ。


で、今回はとりあえず、いろいろな人に聞き込みをして判明した、「おまえのかあちゃんでべそ」の各種バリエーションについてご紹介してみたいと思っている・・・・・・。


「おまえのかあちゃんでべそ A」

ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、で~べ~そ!ついでにおまえも、で~べ~そ!


これは冒頭でご紹介した歌詞と同じもので、恐らく最もオーソドックスな歌詞のものと思われる。
ちなみに私が子供の頃に聴いた記憶があるのは、この歌詞のもので間違いないと思う。


「おまえのかあちゃんでべそ B」

ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、大で~べ~そ!ついでにおまえも大でべそ!


歌詞Bは歌詞Aとほとんどいっしょだが、最後のフレーズが「大でべそ」に変化している。
どうでもいいが、「大でべそ」ってなんだよという話である。


さて、どんどん行こう。


「おまえのかあちゃんでべそ C」

ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん、赤でべそ!ついでにおまえも赤でべそ!


歌詞Bと同様に「赤でべそ」ってなんだよとつっこんでやりたくなるのは私だけではあるまい。
じつはこの「でべそ」の変化はもう1パターンある。


それがこちら(↓)。


「おまえのかあちゃんでべそ D」

ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃん黒でべそ!ついでにおまえも黒でべそ!


このように歌詞Bでは大でべそ、歌詞Cでは赤でべそ、歌詞Dでは黒でべそと、「でべそ」の部分の歌詞だけが変化しているのだが、じつはこれにはちゃんと意味がある。


そしてこれについては次の次の回で解き明かされることになる。


「おまえのかあちゃんでべそ E」

ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃんで~べ~そ!いつになったらひっこむか!


歌詞Eではこれまでの歌詞A~Dと違い、後半の歌詞がガラリと変わっていることが分かる。
どうでもいいが、でべそがひっこむことなんてあるのか?


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▲ふと、青モミジを見上げればミンミンゼミが止まっていた。

「おまえのかあちゃんでべそ F」

で~ぶ、で~ぶ、ひゃっかんで~ぶ、おまえのかあちゃん、で~べ~そ!


あれ、これは以前調査した、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」の出だしの部分じゃないか?


じつは「おまえのかあちゃんでべその歌」は、このように「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」と合わさって歌われているバリエーションがけっこう見られた。


「おまえのかあちゃんでべそ G」

で~ぶ、で~ぶ、ひゃっかんで~ぶ、おまえのかあちゃんで~べ~そ!ついでにおまえもで~べ~そ!


今回調査したものの中では確認出来なかったが、この歌詞Gには、どうやら「大でべそ」、「赤でべそ」、「黒でべそ」のバリエーションも存在しているようだ。


これについては調査協力者のSさんが、子供の頃に聴いた記憶があると言っていた。


「おまえのかあちゃんでべそ H」

ば~か、か~ば、ちんどんや、おまえのかあちゃんで~べ~そ!でんしゃにひかれてぺっちゃんこ!ついでにおまえもぺっちゃんこ!


歌詞Hではこれまでのものと違って、後半の歌詞に「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」のフレーズが採用されている。
どうやらこっちのパターンもあるようだ。


「おまえのかあちゃんでべその歌」と、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」は、同時期に流行っていたために、このようなことが起きていると思われるのだが、これが意図的なものだったのか、人から人へ伝えられる際に、混同して伝わって来たものなのかは今となってはよく分からない・・・・・・。


という訳で今回は、「おまえのかあちゃんでべそ」の、各種バリエーションについてご紹介して来たのだがいかがだったろうか。
みなさんの記憶の中にある、「おまえのかあちゃんでべその歌」はこの中にあっただろうか。


で、次回からはいよいよ「おまえのかあちゃんでべその歌」の、歌詞の解析の方を始めて行きたいと思っている・・・・・・。


(本稿では便宜上、「おまえのかあちゃん」という歌詞に統一させてもらっているが、じつはこの部分の歌詞を「おまえのかあさん」で覚えていたかたもいた。したがって、歌詞A~Hはどちらのバリエーションも存在していることになる。そしてこの歌に関しては、元歌らしきものが見当たらないので、どちらが正しいとか、どちらが先かという判断は出来ないので、その点はご了承いただきたいと思う・・・・・・)

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