「謎フレーズ探偵」まんまるちゃんの絵描き歌 ⑥
▲どうやら、一連の「まんまるちゃんの絵描き歌」のルーツはこちらの絵が描ける「まるちゃんの絵描き歌」のようだ。それにしてもこの絵の人物は謎としか言いようがない。スカートを履いているということは女の子なのだろうが、頭にはなぜか「てつぼうし」を被っており、髪の毛はない。そしてまるで人形のような風貌である・・・・・・。
「まるちゃんの絵描き歌」
まんまるまるまる丸木舟
土人が漕ぎます
シュラシュシュシュ
まるちゃんのぼうしはてつぼうし
ろくのじ ろくのじ
さんじゅうろく
スカートはいたら
足が出た
前回も書いた通り、こちらの「まるちゃんの絵描き歌」は、今回の調査で出て来たものの中では、最も古い時代のもので、どうやら昭和10年代に歌われていた歌のようだ。
そしてこちらの歌詞では、「船」はより原始的な丸木舟であり、それを漕いでいるのが「土人」ということになる。
で、ここまでの詳細については、前回の「まんまるちゃんの絵描き歌⑤」を参照して欲しい・・・・・・。
という訳で、今回は次のフレーズの「シュラシュシュシュ」から解析をして行こうと思っている。
では、そもそもの話、「シュラシュシュシュ」とはいったいなんのことだろう。
なんだか英語っぽい響きではあるが、思い当たる単語がない。
漢字やひらがなが1つも入っていないところを見ると擬音なのだろうか。
また、「アブラカタブラ」のような、おまじないの言葉のようにも聞こえる。
しかし、この「シュラシュシュシュ」というフレーズ、私はなんだか聴いたことがあるような気がする。
そこで少しずつ、記憶の糸を手繰って行くと、香川県民謡の「金比羅船々」に行き着いた。
私が子供の頃、民謡好きの父が、よくテレビの民謡番組を見ながら、この歌を口ずさんでいたのを覚えている。
ちなみに「金比羅船々」では、「こんぴらふねふね 追い手に帆掛けて シュラシュシュシュ」と歌われている。
では、「シュラシュシュシュ」とは何かというと、「シュラ」は「修羅」と書き、もともとの意味は仏教に由来する。
仏教のエピソードでは、「修羅」は宿敵である「帝釈天」に戦いを挑み、「帝釈天」を見事敗走させている。
しかし、「シュラシュシュシュ」のフレーズと、仏教のエピソードは直接の関係はない。
じつは「修羅」にはもう一つ意味があって、農業や林業などで使われる、ソリのような形をした運搬道具のことを指す言葉でもある。
この「修羅」は巨石の運搬などにも使われていたことから、「大きな石=大石=帝釈」を走らせることから、「修羅」と呼ばれるようになったようだ。
つまり言葉の由来はダジャレに近いものがある。
で、この「修羅」が走って行く様子を、船がすいすい進んで行く光景になぞらえて、「シュラシュシュシュ」というフレーズが生まれたようだ。
つまり「まるちゃんの絵描き歌」の冒頭のフレーズは、「土人が漕ぐ丸木舟がスイスイ進んで行く」という意味になる訳だ・・・・・・。
▲前回ご紹介した「女の子B」の絵描き歌は、一枚目の画像の「まるちゃんの絵描き歌」の進化系と考えてよさそうである・・・・・・。
次のフレーズは、「まるちゃんのぼうしはてつぼうし」である。
そして注目して欲しいのは、こちらの「まるちゃんの絵描き歌」では、主人公(?)のまるちゃんは、ここで初めて登場しているのだ。
そして、そのまるちゃんが被っている帽子は「てつぼうし」なのだという。
「てつぼうし」などと言うと、中世ヨーロッパの鎧兜のようなものを想像してしまうが、実際には「てつぼうし」とは、「ヘルメット」の古い呼び名である。
しかし、まるちゃんがなぜ「てつぼうし」を被っているのかについては、歌詞では何も語られておらず、詳細は不明としか言いようがない・・・・・・。
続いてのフレーズは、「ろくのじ ろくのじ さんじゅうろく」だ。
このフレーズは前回ご紹介した、「女の子B」の「ろくもんじ ろくもんじ」という歌詞にたいへんよく似ている。
「女の子B」の歌詞を解析した際には、子ブタや子グマバージョンの歌詞にある、「ろくろくちゃん ろくろくちゃん」から変化したものではないかと予想したのだが、どうもこちらの「まるちゃんの絵描き歌」にある、「ろくのじ」が「ろくもんじ」に変化したと考えた方がしっくり来る・・・・・・。
そしてそれを証明してくれるのが、次のフレーズ、「スカートはいたら足が出た」である。
このフレーズも「女の子B」の最後のフレーズ、「スカートはかせりゃ足が出る」に酷似していることが分かる。
で、このことから分かることは、「女の子B」の絵描き歌は、こちらの「まるちゃんの絵描き歌」とは無関係ではないということだ。
もっと言うなら、「女の子B」の絵描き歌は、「まるちゃんの絵描き歌」を元に作られた歌なのではないだろうか。
さらに「女の子B」の絵描き歌が、「まるちゃんの絵描き歌」から派生した歌だとすると、これと歌詞がリンクしている、「女の子A」の絵描き歌も決して無関係ではないだろう。
ということは、「女の子A」の歌詞とリンクしている子ブタや子グマの絵描き歌も、元をたどれば、上の「まるちゃんの絵描き歌」に行き着くことになる訳だ。
想像するに、最初に「まるちゃんの絵描き歌」があって、そこから「女の子B」の歌詞が生まれ、さらにそこから「女の子A」の歌詞が派生した。
そしてさらにそこから、子ブタや子グマの絵描き歌が生まれて行ったということになるのではないだろうか。
そしてこの一連の絵描き歌については、伝聞形式で歌詞が伝わって行く際に、聞き間違いなどで歌詞が変化して行ったものとはちょっと考えにくい。
先ほどの順番で、それぞれの歌詞を見て行くと、どうも子供がより親しみやすいように、歌詞が改良されて行っているように感じる。
そしてそれは完成する絵を見ても明らかだ。
ただ、1つ気になるのは、このシリーズには、歌詞に必ず影のような物があり、どんなに歌詞を改良しても、その影だけはなぜか消えずに残っているのである。
子供が歌う絵描き歌になぜそんなものが必要なのだろうか。
これについてはもはや謎としか言いようがない・・・・・・。












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