「謎フレーズ探偵」ポチる
「ポチる」という言葉がある。
もはや説明するまでもないと思うが、「ポチる」とは通販サイトなどで、商品の購入を確定することを意味している。
購入ボタンを「ポチッ」と押して買うから「ポチる」なのである。
しかし、実際には「ポチッ」としているのは、PCならマウスの方で、画面上の購入ボタンからは、当然のことながら、手に伝わって来る感触は何もない。
で、ここでちょっと疑問に感じることがある。
マウスならば「ポチッ」ではなく、「カチッ」ではないのか?
それなのになぜ、「ポチッ=ポチる」になったのだろうか・・・・・・。
じつはこの「ポチる」という言葉には、元になった言葉がある。
それは「ポチッとな」で、昔から様々なアニメやゲームの世界で、登場人物たちのセリフとして使われて来た。
そしてそれはほとんどの場合、何かしらのボタンを押すシーンで、「今からボタンを押しますよ」の合図として使われて来たのだ・・・・・・。
で、この「ポチッとな」には、さらなる元ネタがある。
そしてその元ネタは、1977(昭和52)年1月1日から、1979(昭和54)年1月27日まで、フジテレビ系列で放映されていた、アニメ「ヤッターマン」になる。
具体的にはヤッターマンの作中で、ドロンボー一味のボヤッキーが、ヤッターマンのメカを攻撃する際に、操縦席にある赤く丸いボタンを「ポチッとな」と言いながら押していたのが、全ての始まりだったのである。
そしてヤッターマンは人気の作品ということもあって、その後も何度も再放送を繰り返していた。
その結果、幅広い世代の人が知るアニメ作品となって、「ポチッとな」も世間に広く浸透していったのである・・・・・・。
で、私が子供の頃は、日常生活の中でも、何かのボタンやスイッチを押す時に、ボヤッキーの「ポチッとな」をよく真似して使っていたものだ。
例えばテレビの電源ボタンやラジカセの再生スイッチ、扇風機の風量切り替えボタンや、バスの降車ボタンを押す時などがそうである・・・・・・。
ところでこのボヤッキーの「ポチッとな」というセリフだが、じつは当時ボヤッキーの声を担当されていた、声優の八奈見乗児さんのアドリブだったといわれている。
だからもしその時に、アドリブが却下されていたら、現代の「ポチる」という言葉は誕生していなかったのかも知れない・・・・・・。
ちなみにボヤッキーといえば、「ポチッとな」以外にも、「はぁ~い、全国の女子高生のみなしゃ~ん」や、「今週の山場~っ!」などの決まり文句があることで知られているが、これらも全てアドリブだったと言われている。
このため作品中盤あたりからは、ボヤッキーの台詞の部分に、あらかじめ余裕を持たせておき、アドリブを入れやすくしておいたのだそうだ・・・・・・。
ところで2008(平成20)年にヤッターマンのリメイク版が放送された際には、キャラクターグッズとして「ポチッとなボタン」と、その廉価版の「ポチッとなボタンミニ」が発売された。
これらのボタンは、アニメ本編のイメージを忠実に再現していて、赤いボタンにはドロンボー一味のトレードマークでもある、ドクロのマークもちゃんとプリントされていた。
そしてボタンを押すことで、「ポチッとな」を始めとする、様々な台詞をしゃべるおもちゃに仕上がっていた・・・・・・。
また、2010(平成22)年2月12日には、日本マクドナルドのハッピーセットのおまけとして、期間限定、数量限定で、「ポチッとな」が配布されていた。
こちらも前述のキャラクター商品に似たデザインで、ボタンを押すことで、ドロンボー一味の台詞が再生される仕組みになっていた。
台詞は3種類で、ドロンジョの「やぁ~っておしまい!」、ボヤッキーとトンズラーの「アラホラサッサー!」、そして最後はメインとなる、ボヤッキーの「ポチッとな」が収録されていた・・・・・・。
私が子供の頃、ヤッターマンの作中に登場するポチッとなボタンは、その大きさや形状、押し心地などが、なんとも絶妙に感じられ、テレビを見ながら、「あれをぜひ押してみたい」と思っている少年少女がたくさんいたものだ。
だから昭和のあの頃に「ポチッとなボタン」が商品化されていたら、きっと馬鹿売れしていたに違いない・・・・・・。
ところで「ポチッとな」といえば、ヤッターマンの作中で、ボヤッキーがボタンでないものを、「ポチッとな」と押していることがあった。
で、それは何かというと、ドロンジョの乳首で、ハプニングのどさくさに紛れて、「ポチッとな」と押していたのだが、その直後にドロンジョに張り倒されていたことはもはやいうまでもないだろう・・・・・・。
(画像上、暑い中にも秋を感じるようになり、フィールドではツクツクボウシの個体数が一気に増えた・・・・・・。画像下、シロソウメンタケも秋を感じて地上に姿を現した・・・・・・)
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