ファイナルファンタジーⅦのCM
▲「ファイナルファンタジーⅦ」のパッケージデザインは驚くほどシンプルなものだった・・・・・・。
1996(平成8)年の正月明け、なんの前触れもなく、テレビで60秒間の衝撃的な内容のCMが流れ始めた。
画面には3DのCGで描かれた、「ミッドガル」と呼ばれる科学文明の栄えた都市が映し出され、カメラがゆっくりとパーンして行く。
場面は変わり、パソコンが並ぶオフィスに。
キーボードを小気味よく打ち鳴らしながら、プログラムを入力して行く開発者。
モニターの中には、先ほどのミッドガルの光景。
そして開発中のキャラクターの姿が、次々と映し出されて行く。
そしてエンターキーを叩くと、開発中の画面から飛び出したキャラクターが、フィールドに降り立つ。
息をつく間もなく、モンスターとエンカウントし、戦闘シーンに突入する。
さらに町の中やダンジョンを滑らかに動き回るキャラクター。
そしてそのゲーム画面に重ねるように、「F・FⅦ始動」という印象的なキャッチコピーが映し出される。
続けて「1996年12月発売予定」という告知。
最後はプレイステーションのロゴマークと、いまやお馴染みとなった、「プレイステーション」というナレーションが入りCMは終了・・・・・・。
もはや説明するまでもないと思うが、このCMは初代プレイステーション用ソフトとして、1997年1月31日に、スクウェアから発売になった、「ファイナルファンタジーⅦ」の第一報だった。
1996(平成8)年の正月明けのCMでは、「1996年12月発売予定」と告知されていたが、結果的には1ヶ月遅れて、年明けの発売となった・・・・・・。
▲取扱説明書に掲載されていた印象的なカット。取扱説明書に採用されていた画像は、キャラクターはなぜか後ろ姿が多かったように思う・・・・・・。
で、このCMの何が衝撃的だったのかというと、まずは何よりも、これまでずっと任天堂のハードで発売されて来た、ファイナルファンタジーシリーズの最新作を、いきなりSONYのプレイステーションで発売すると、CM上で宣言してしまったことだろう。
このCMが公開されるまでは、世の中のほとんどの人は、ファイナルファンタジーⅦは、任天堂が4月に発売するとしていた(後に6月に延期)、NINTENDO64の専用ソフトとして開発されていると思っていた。
というのも、ファイナルファンタジーは、これまで「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」はファミリーコンピューター、「Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ」はスーパーファミコンと、一貫して任天堂のハードで発売されて来たからだ。
それがこのCMをもって、突然のハード変更、プレイステーション参入の発表となったのだ。
当時はファイナルファンタジーと、ドラゴンクエストの2大ビッグタイトルは、任天堂のハードで発売されることは間違いないと思われていた。
このためプレイステーションは買い控え、NINTENDO64の発売を待っている人が多かった。
そんなこともあって、このCMを見た時の衝撃はハンパないものがあったのである・・・・・・。
さらにこのCMを見て、多くの人が驚いたのは、Ⅵまでの2Dのドット絵から一転して、3Dという新たな表現方法が採用されていたことだろう。
当時は3Dのグラフィックを採用したゲームが、少しずつ増えて来てはいたものの、まだまだ格闘ゲームやアクションゲームが多く、RPGは2Dのドット絵が主流だった。
そんな時代だったからこそ、このCMのインパクトは非常に強く、多くの人がそこにゲームの未来を垣間見ていた。
そして人々は3Dというゲームの新たな表現方法を目の当たりにしたことで、「もしかしてスーパーファミコンの次は、プレイステーションになるんじゃないのか・・・?」と思い始めていた・・・・・・。
じつはファイナルファンタジーⅦは、当初、多くの人が予想していた通り、NINTENDO64で発売される可能性もあった。
しかし、NINTENDO64の開発が遅れたことで、この時すでに発売になっていた、プレイステーションにシフトチェンジしたのだという。
また、NINTENDO64は、ROMカセットでゲームを供給することがすでに決まっていた。
しかし、ファイナルファンタジーⅦの、膨大な容量のムービーをROMカセットに詰め込むことは難しく、最終的に容量の制約のない、CD-ROMを採用しているプレイステーションで発売することが決まったのだという・・・・・・。
また、当時はRPGといえば、中世ヨーロッパ風の、いわゆるファンタジーの世界観が定番だった。
CMでファイナルファンタジーⅦの映像を目の当たりにして衝撃だったのは、そのような要素が一切なくなって、機械文明が発展した、現代に近い独特な世界観が広がっていたことだろう。
個人的にはワールドマップ上に「城」が存在しない、初めてのRPGだったように思う・・・・・・。
このように1996(平成8)年の正月明けに突如公開された、ファイナルファンタジーⅦのCMは、その全てが衝撃的、かつ斬新で、ぼくら一般のプレイヤーだけではなく、ゲーム業界全体を騒然とさせ、人々の記憶に強烈な印象を残すことになったのだった・・・・・・。




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